台湾の漢方医が語る健康法 「万病は情から発する」(上)

台湾の漢方医師・温嬪容さんは、人が病気になる原因として「一般的に、その人の感情の持ち方が、きっかけになっています。(人會生病,一般是情感的牽引)」と言います。

温医師は、毎日の問診で多くの来院患者と接するなかで、そのことを発見したと言います。温医師によれば「来院する患者のうち、約8割が家庭内で何らかの不和がある。その8割のなかで、夫婦間の不和をもつ人が9割を占める」と言うのです。
 

の持ち方」が万病の原因

温医師は、自身の最新の著書『情理法天』のなかでも、そのことを説明しています。
その結論を先に言うと「万病は心の持ち方から生じる。しかし、心の持ち方を良好にすれば、万病を治すこともできる」ということです。そして、患者自身がそのことに気づき、人体がもつ「自己修復機能」を発揮させることによって、自分で病気を治すこと。漢方医は、それをアドバイスするのだそうです。

以下は、温嬪容医師による「正しい心の持ち方」からアプローチする健康法の概要です。

人間は、誰でも「情」があります。しかし、その情からくる「感情的な関門」をなかなか超えられないのです。中国の古い医学書『黄帝内経』にも、こんな記述があります。「心が明るければ、体内を安んじる。心が明るくなければ、体内の全ての臓器が危うくなる。閉塞して通じないため、その人の容貌は大いに傷つく」と。

人間関係がうまくいかなければ、人と衝突します。かと言って1人になれば、孤独に苛まれて暗くなります。そうした感情にまつわるアンバランスな状態が続けば、体内の五臓が不安定になり、最終的には病気になってしまうのです。

21世紀の三大疾患のうち「1位が、がん。2位が、うつ病」であるとも言われていますが、それだけでなく「精神的うつ病が、がんの原因にもなっている」という両者の関係性もあるのです。

心の中に、長期にわたって恨みの感情がある場合、例えば女性なら乳がんや子宮筋腫のリスクが上がります。逆に、家族の仲が良く、和気あいあいとした家庭の子供は、病気になっても比較的早く治ります。西洋医学の理論がどうであれ、私たち(漢方医)は、このように見ているのです。
 

「怒りの感情」は肝臓を傷つける

怒りの感情が起こると、最初にダメージを受けるのは肝経(肝臓の経絡)です。肝経がうっ血すれば、目にも影響を与えます。続いて、下痢や便秘、空腹感や胃腸の不調なども含めて、排泄に影響を与えます。そんな時は、例えば「尿意が切迫しているのに尿が出ない」などの非常に苦しい状態になります。

漢字の「我(わたし)」と「找(さがしあてる)」は、よく似た字形をしていますが、同じ文字ではありません。それほど、自分自身の間違いを「找(さがしあてる)」のは容易ではないのです。

温医師の著書『情理法天』にもありますが、ある老婦人はもう退職して生活上の心配はありませんが、ある時、治りにくい眼の病気にかかりました。その原因は、彼女が長年にわたり嫁姑の問題を抱えており、息子の嫁に対して怒りと恨みをつのらせていたからなのです。彼女のそうした「心の持ち方」が、ついに厄介な眼病を招いてしまったようです。

温医師はカウンセリングを通じて、なぜ眼病になったのかを彼女によく説明しました。老婦人は、温医師の話を聞いてその原因をよく理解し、自分の気持ちを整理することで、嫁に悪い感情を持たないように努めました。以来、あれほど治りにくかった眼病が、なんと好転し始めたのです。

(つづく)

陳柏年