アブラナ科の野菜は、脳卒中（脳梗塞、脳出血、くも膜下出血）の予防効果で知られていますが、研究者は、あまり人気のない野菜が脳卒中のリスクを低減し、さらには脳卒中の症状の回復に役立つことを発見しました。

2022年8月にシドニーに本部を置く心臓研究所HRI（Heart Research Institute）が行った新しい研究では、ブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワー、チンゲンサイ、キャベツなどのアブラナ科の野菜に含まれる一種の化学物質であるイソチオシアネート（辛味成分）が、悪性凝固の発生を軽減し、脳卒中を回復させることを発見しました。

血栓が形成されたり、脳の血液供給が遮断されると、脳細胞に酸素や栄養分が欠乏し、脳細胞が死滅することで脳卒中が発生しやすくなります。

シドニー大学心臓研究所心臓血管部のリーダーであるリュウ・シュユ（Xuyu Liu）氏は、臨床前の動物実験の結果から、ブロッコリーや芽キャベツを摂取した実験動物では、動脈の開存率が2倍に増したと述べ、これらの野菜が人の脳卒中を予防するのに役立つと述べました。

心臓研究所HRIによると、オーストラリアでは毎年約5万5千人が脳卒中を患っており、そのうちの80％は予防可能だと言われます。研究者は、1990年代以降、治療方法はほとんど進歩していないと述べています。脳卒中を治療するための臨床治療法は現在1つしか承認されていません。

リュウ・シュユ氏は、「脳卒中の治療には、組織型プラスミノーゲンアクチベーター剤を使用しますが、脳卒中が発生してから4.5時間以内に投与する必要があります。この投与時間は非常に制限されており、地方やへき地では難しいのです」と述べ、また時間制限内で迅速な治療を行っても、治療の成功率は40％未満にとどまっています。

上記のアブラナ科の野菜はすべて天然の食材であり、正常な凝固保護反応に影響を与えることはなく、副作用もありません。

人体臨床試験に向けた次のステップとして、研究者らは抗脳卒中治療に必要な分子で作られたミックス野菜のドリンクを検討する予定です。

脳卒中を予防するために心臓に良い食品を摂取する

食ベ物を薬とする考え方は古くから存在しています。現代医学は病気そのものに焦点を当てており、医学部の学生は学校で多くの時間を費やして病気と身体の状態を研究していますが、伝統的な古代の医学では食ベ物を薬とすることが課題の中の主要な1つでした。

最近の多くの研究では、ケール、ほうれん草、ブロッコリー、エンドウ豆などの緑黄色野菜や豆類が認知症のリスクを低下させると分かりました。ウコンは腫瘍細胞を殺す効果があり、ブルーベリーは心臓病や精神疾患を予防できるのです。