【伝統が紡ぐ養生料理】

「ふたたびだんご」で受け継がれる 春の訪れを彩る養生の知恵

この若草色の団子は、ただ目で楽しむだけでなく、桜の花々とともに季節の風情を一層引き立てます。古来より、よもぎ団子は体の冷えや湿気を解消し、体調を整える効能があるとされ、幸運と健康をもたらすのご馳走としても親しまれています。春の訪れとともに、この美味しくも健康的な伝統的なお菓子を楽しみながら、新しい季節の始まりを祝いましょう。

宮城県の郷土料理である「ふたたびだんご」の名前はその作り方に由来します。通常のだんごづくりはこねる作業は一回ですが、「ふたたびだんご」ははじめにこねて、再びつきます。このようにしてできた生地はとても柔らかく、ふわっとした食感となります。

「ふたたびだんご」は主によもぎ、もち米、うるち米、あんこで作られています。『和名類聚抄』によると、唐の時代から伝わる「唐菓子」が起源で、当時は神を祭る際に使われていました。この食べ物は少なくとも千年以上の歴史があるとされています。現代では、その若草の色、よもぎの香り、もちもちとした食感が人々に愛され、昔とは違って手軽に食べられるようになりました。

出典:農林水産省「うちの郷土料理/ふたたびだんご」

「ふたたびだんご」は唐の時代の団子の養生効果を受け継いでいます。このような団子は体を温め、体調を整える効果があります。特に、気分をリフレッシュさせてくれたり、精神を安定させる力があるため、ストレスが多い現代にもぴったりです。古代中国の寒食節では、火を使わない冷たい食べ物しか食べられなかったため、体が冷えることが問題となりました。そこで、よもぎを使った団子を食べることで胃腸を守り、腹痛や下痢を防いでいました。足の冷え性や腰痛など、寒さによる体の不調を和らげる効果もあります。

団子の外見がどう変わろうと、小豆とよもぎが中心です。甘みとよもぎの独特の香りが絶妙に合わさり、見た目はシンプルでも深い味わいがあります。この組み合わせは、特に寒さや湿気が多い時期におすすめです。

 

注意点

もち米は体力をつけたり、造血作用がありますが、消化されにくいため、胃腸が弱い方は多く食べ過ぎないよう注意が必要です。一方で、体の熱量が多い方や、体が乾燥しがちな方は、十分な水分を摂ることが大切です。特に、よもぎを多く摂ると体温が上がり、気が昇ってイライラすることがあるため、自分の体質に合わせて適量を心がけましょう。

体質に合わない場合は、よもぎの量を控えめにすると良いでしょう。また、白米や山芋、長芋を使ったお粥は、消化が良く、体温を下げる効果があります。これらの食べ物は、特に肺機能をサポートし、体内の熱を取り除く助けとなるため、体が熱くなりがちな方におすすめです。これにより、体内の水分不足や熱が過剰になるのを防ぐ効果が期待できます。

 

「ふたたびだんご」のレシピはこちらをご参照ください。

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/futatabi_dango_miyazaki.html

 

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。