今年4月、米国の消費者調査によって、BAND-AIDなどの人気の絆創膏ブランドに、内分泌かく乱、甲状腺疾患、不妊症などの健康問題が懸念されるPFASが含まれている可能性が明らかになった。
PFASは有機フッ素化合物のことで、自然界でほぼ分解されず、人体や環境中に長く残ることから、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。
製品の毒性を調査する組織Mamavationが、ニュースメディアEnvironmental Health Newsと提携して、18ブランド40種類の絆創膏に「永遠の化学物質」が含まれているかどうかを、米国環境保護庁(EPA)認定の研究所でテストした。その結果、テストした絆創膏の65%から有害なレベルの有機フッ素を検出し、含有率は11〜328ppm(百万分率)だった。
さらに、テストした40種類の絆創膏のうち26種類で10ppm以上の有機フッ素が検出され、黒人や褐色の肌の人向けに販売されている絆創膏の63%でPFASが陽性だった。
カーネギーメロン大学グリーンサイエンス研究所のテレンス・コリンズ所長が、この結果を科学的にレビューしている。コリンズ氏は、絆創膏からのPFAS曝露は、100ppmでさえ「断じて許容できない量」であるとの見解をエポックタイムズへのメールで述べた。
「永遠の化学物質」とは
PFASは、1万2000種類以上の人工化合物の総称で、高い耐熱性や撥水性、撥油性、汚れ・薬品への耐性を発揮する。そのため、食品包装、ノンスティック調理器具、防水生地、パーソナルケア製品、塗料、プラスチック、ワックス、化粧品、医薬品、消火剤、デンタルフロス、カーペットなど、多くの商業・工業製品に使用されている。
いっぽう、分解されにくく、人体や動物、環境中に蓄積されることから、PFASは「永遠の化学物質」とも呼ばれている。人間は、汚染された食品や水、PFASを含む製品、あるいは工業製品からのほこりやガスの吸入によってPFASにばく露される。臍帯や胎盤を通して胎児がPFASにばく露されることもあり、母乳を通して乳児がばく露される可能性もある。
グリーンサイエンス政策研究所によると、絆創膏はPFASを添加することで、「基材の湿潤性と浸透性が向上し」、より強力な粘着力が得られるという。
Mamavation編集長のリア・セゲディ氏は、「傷口への使用を踏まえ、絆創膏ブランドにPFAS『永遠の化学物質』を含む兆候があることは非常に懸念される」とエポックタイムズに語った。
有機フッ素の検出でPFASを特定
Mamavationによると、テストされた絆創膏は、2022年11月から2024年2月の間に、ウォルマート、CVS、ライトエイド、ターゲット、アマゾン、またはブランド自体から購入または寄贈されたものだった。研究所では、ほとんどの製品のパッドと粘着部分をテストしたが、資金が限られていたためにPFASが検出された場合にのみ両方をテストした製品もあった。
PFASは分子構造に炭素とフッ素の原子を持つため、特定するのに有機フッ素の有無がテストされた。サンプルで有機フッ素が検出された場合、その製品にはPFASが含まれていることになる。総フッ素量が10ppm以上の場合、科学者らはさらにテストを行い、有機フッ素の含有量を判断した。テストではフッ素ポリマー、医薬品、ハイドロフルオロカーボン冷媒なども扱った。
ノースカロライナ州立大学のPFAS環境健康影響センター准教授 スコット・ベルチャー氏は、Mamavationに対し、PTFEなどのフッ素ポリマーは「絆創膏中の有機フッ素の一因となりうる非常に一般的な形態のPFASだ」と述べた。
Mamavationの研究所が使用したテスト方法ではPTFEのような特定のPFASを直接特定することはできないが、有機フッ素の総量をテストすることでPTFEを含む絆創膏中のすべてのPFAS汚染物質を把握できるため、このテスト方法は消費者製品の「抽出検査」になるとベルチャー氏は述べた。
コリンズ氏はエポックタイムズに対し、「Mamavationの分析により、特定の絆創膏製品にPFAS化合物が含まれていることがわかった。分析では、これらの化合物が何であるかは分かっておらず、メーカーも開示していない」と述べた。
続く記事で、実際に調査から判明したPFASを含む製品について見ていく。
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