コロナ治療でイベルメクチン/ヒドロキシクロロキンを処方された子どもは数千人に上る=米国

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するイベルメクチンヒドロキシクロロキンの使用を当局が推奨していなかった時期に、アメリカの医師らがそれらを新型コロナに罹患した小児に4,400回以上処方していたことが、新たな研究で明らかになりました。

2020年9月12日にアメリカの小児感染症学会が臨床試験以外ではヒドロキシクロロキンを使用しないよう勧告した後、医師はCOVID-19に罹患した未成年者にヒドロキシクロロキンを813回処方していました。この勧告は、アメリカ食品医薬品局(FDA)がCOVID-19に対するヒドロキシクロロキンの緊急使用許可を取り消した後に出されました。

また、COVID-19に罹患した小児に対するイベルメクチンの処方は、アメリカ感染症学会がイベルメクチンを臨床試験以外で使用しないよう勧告するガイドラインを発表した2021年2月5日以降、3,602件ありました。その後、FDAは2021年にCOVID-19に対してイベルメクチンを服用しないよう促しましたが、後にこれらの警告は取り消さざるを得なくなりました

スタンフォード大学医学部の小児感染症臨床学准教授であるジュリアン・バーンズ医師と他の研究者らが、医療費請求データベースKomodo Healthcare Mapの記録を調査しました。医療データプラットフォーム提供企業Komodo Healthは、同データベースが患者3億3000万人のデータをカバーしていると述べています。

研究者らが2020年3月7日から2022年12月31日までにCOVID-19に罹患した小児を調べたところ、診断前の少なくとも1年間は継続的に保険に加入していなかった子供など、一部の子供を除外した上で、「非推奨薬」の処方が約4,480件あったことを発見しました。

そのうちの数十件を除くすべてが、イベルメクチンまたはヒドロキシクロロキンの処方でした。

両薬剤はFDAによって承認されていますが、COVID-19に対しては承認されていません。一部の機関や団体、医師は、臨床試験でこれらの薬剤が有効である証拠がほとんど、あるいは全くないため、この病気に対して使用すべきではないと述べています。一方で、自らの経験上、あるいは他の臨床試験で薬が有効であったことを挙げて、薬がCOVID-19に効くと述べる団体や医師もいます。米国ではFDAの認可から外れた薬剤の処方は一般的です。

米国小児科学会の雑誌に掲載されたこの新たな研究を行ったバーンズ医師と他の研究者たちは、その調査結果により、「国の臨床ガイドラインが出ていたにもかかわらず、急性期のCOVID-19に対して効果がなく、潜在的に有害な薬が子供たちに処方された」ことが示唆されたと述べています。

有効性の有無に関する唯一のデータは、FDAによるヒドロキシクロロキンの承認取り消しと、小児感染症学会と米国感染症学会のガイダンスのみです。安全性については、連邦政府の勧告によれば、イベルメクチンの処方は24倍に増加し、中毒情報センターへのイベルメクチン関連の問い合わせは同時期に5倍に増加したことが指摘されています。

ロバート・アプター医師(同研究には関与していない)は、この研究が潜在的な問題に言及しているとした上で、COVID-19に対して薬剤を使用したことで起きた問題に関して、証拠が挙げられていないことを強調しました。

「中毒情報センターへのイベルメクチンに関する問い合わせが増えたという事実には何の意味もありません。ニュースになれば好奇心がそそられ、中毒情報センターに電話することもあるでしょう」とアプター医師はエポックタイムズに語りました。

アプター医師は、この薬は「これまでずっと小児に対して安全に使用されてきました」と述べました。

アプター医師は何千人ものCOVID-19患者に治療薬を処方しており、反イベルメクチン声明をめぐってFDAを訴えた医師の一人でもあります。アプター医師が、家族が心配するほどの重症を経験した10代の若者数人にイベルメクチンあるいはヒドロキシクロロキンを処方したところ、その子供たちはすぐに改善し、副作用もなかったといいます。

バーンズ医師にもコメントを求めましたが、返答はありませんでした。

研究者らは、この研究の限界として、医療記録に依存していることを挙げています。医療提供者に報告されていないCOVID-19感染を説明することができず、また、間違ったラベルが貼られたコードが含まれている可能性があるからです。研究はStanford Maternal and Child Health Research Institute(スタンフォード母子保健研究所)から資金提供を受けていますが、利益相反は記載されていませんでした。

以前の研究では、2020年12月1日から2021年3月31日までの請求データを調査し、寄生虫以外による感染症に対する小児へのイベルメクチンの処方が128件確認され、研究者らはそれらがCOVID-19に対するものであると仮定しました。この論文はIQVIAの医療費請求データベースから作成されました。研究者らは、メディケア・アドバンテージ保険に加入している患者のデータも調査しました。小児に対するものはなかったものの、イベルメクチンの処方をいくつか発見しました。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。