長期化する便秘は痔を誘発する上、免疫力の低下も招きます。運動不足の高齢者、生野菜ばかり食べるダイエッター、ストレスがたまって濃い味を好む会社員は特に便秘になりやすいです。便秘や痔を解消するために、漢方医師の胡乃文氏は、ツボマッサージ、果物の摂取、運動の三つを推奨しています。
• 運動不足の高齢者
70歳を超える便秘の患者は、毎日家でゴロゴロしており、ほとんど運動をしていませんでした。食後には常にお腹が膨満感を感じ、便はウサギのふんのように硬くてコロコロしていました。胡乃文医師は、これが便秘の典型的な症状だと指摘し、この便秘は「気血不足」によるものだと説明しました。
漢方では、人の体に秘められたエネルギーを「気」と呼びます。気は体内の経絡を巡り、血液の循環を促進し、人に活力を与えます。経絡上の「ツボ」を鍼灸やマッサージで刺激することで、気と血の運行を改善し、病気を治すことができます。
腕にある「孔最」というツボは排便を促す効果があり、昔から痔の治療に使われてきました。長年の臨床実践により、「孔最」のツボに鍼灸やマッサージを施すことで、便秘や痔に対して迅速かつ効果的な治療が得られることが証明されています。
「孔最」ツボの場所は、腕の内側を手首から肘まで12等分し、肘から手首に向かって5番目の親指側の部分です。このツボをマッサージすると、軽い痺れを感じ、肺のエネルギー循環や胃腸の動きを促進し、肛門をリラックスさせます。30秒間のマッサージで排便を促すことができます。
2023年の『ヨーロッパ老年医学』誌に掲載された研究によると、ツボマッサージを受けた高齢者は便秘が改善し、生活の質も向上し、下剤の使用回数も減少しました。研究者は、ツボマッサージが便秘の代替療法として有効であると述べています。
• 生野菜ばっかり食べるダイエッター
ダイエットのために野菜サラダばかり食べたり、冷たい食べ物を摂取する人がいます。この習慣は「脾胃」(漢方では消化器官全体を指す)が冷えて消化障害を引き起こしやすく、特に女性の場合は不妊症にもつながります。
漢方医学では「脾」とは、脾臓を中心としたエネルギー循環システムを指し、消化器官全体や免疫システムにも関わっています。「脾胃論」には「脾胃を内傷すれば百病がそのために生ずる」と記されており、脾胃に障害が起きると消化不良やさまざまな病気を誘発します。
脾胃を養うためには、加熱した野菜と健康的な油脂を摂ることが推奨されます。野菜炒めや茹で野菜にエクストラバージンオリーブオイルや純正ラードを加えると良いでしょう。
• ストレスが溜まって濃い味を求める会社員
会社員は仕事でストレスが溜まりやすく、刺激的な食べ物や揚げ物を求めがちです。不規則な食事が消化不良と便秘を引き起こします。
ストレスを軽減し、排便を促す三つの方法を紹介します。
食生活の習慣を調整
- 濃い味が好きな人は、週に2日ほどあっさりした食べ物を摂り、胃腸を休ませましょう。
- 外食の際は、「白飯または全粒穀物のご飯と鶏肉煮込みや魚類」に「遺伝子非組み換え豆腐と2種類の野菜」を組み合わせましょう。食物繊維が豊富な緑の野菜(ほうれん草、チンゲン菜、サツマイモの葉)などが排便を促します。
- 茹で方が不十分な麺類は消化に悪いので避けましょう。麺に十分火が通っていることを確認してください。
便秘に効く二種類の果物
- キウイとドラゴンフルーツが最も効果的です。キウイにはタンパク質分解酵素のアクチニジンが含まれており、食物繊維も豊富で消化を促進します。青色のキウイは特に効果的です。
- キウイにアレルギーがある場合は、ドラゴンフルーツを摂取しましょう。ドラゴンフルーツも食物繊維が豊富で、便秘の緩和に効果的です。
デスクワークにぴったりの腰ストレッチ
- ゆっくりとした腰のストレッチを行い、腸の動きを促進しましょう。立てない場合は座ったままでもできます。一日2セット、1セットにつき20回行います。
やり方
A. 体をまっすぐにし、骨盤と同じ幅で両足を開きます。膝を少し曲げ、胸の前で両手をクロスします。
B. 上半身を雑巾を絞るようにゆっくりと回します。
C. 回したら、今度は反対側に回します。腰を痛めないように、ゆっくりと回しましょう。
下剤を手放しましょう
早朝にトイレに行く時間がなく、便意がなくなる会社員は下剤に頼りがちです。しかし、下剤に依存すると危険です。腰ストレッチと「孔最」のツボマッサージを行うことで、便秘を緩和し、下剤を手放すことができます。
(翻訳編集 正道 勇)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。