男性は女性よりもがんにかかる頻度が高く、その差は今後さらに広がると予測されています。
12日に米国がん免疫療法学会誌Cancerに発表された研究は、「2022年には男性においてがんの発症率と死亡率に大きな差が見られ、この差は2050年までにさらに拡大する見込み」と指摘しています。
2050年までに、世界全体で男性の新たながん死亡者数は1050万人に達し、93% 増加すると予想されています。また、男性の新たながん発症者数も84%増加すると予測されています。いずれも女性よりも高い数値です。
がんによる死亡者数の増加は、65歳以上の男性で特に顕著で、117%以上の増加を記録しています。がんを発症し、がんで亡くなった男性の約3分の2がこの年齢層でした。
生活習慣が主な要因
2050年の予測は、2022年の観察データに基づいており、研究者たちは5年ごとに予測を行っています。
研究者たちは、喫煙や飲酒といったライフスタイルの選択が男女間の差の拡大の主な要因であると考えています。
研究者たちは、2022年に185か国と地域から収集された男性に関する30種類のがんデータを分析しました。
また、研究者たちは、男性が職場で発がん物質にさらされる機会が多く、がん予防検診への参加率が低く、早期治療に取り組む率も低いことが、男性におけるがん発症率の高さに寄与していると指摘しています。
2020年における男性のがん死亡率は女性より43%高く、男性では10万人あたり120.8人、女性では84.2人でした。
研究者たちは、肺がんが最も一般的であり、最も多くの死亡者を出していると述べていますが、主要ながんの種類は年齢層によって若干異なることが指摘されています。
男性特有のがんは注目度が低い
研究は、女性に影響を与えるがんがより多くの公的注目を集めていることを指摘しています。
「乳がんや子宮頸がんといった女性特有のがんに対する早期発見や介入は効果を上げていますが、前立腺がんや精巣がんといった男性特有のがんには、同様のプログラムが存在しません」と、研究者たちは記しています。
さらに、男女共通の疾患に対する検診プログラム、例えば大腸がんに対する検診プログラムへの男性の参加率も低いと、研究は指摘しています。
男性喫煙者は女性の5倍
喫煙は世界中で主要な死因の一つですが、男性喫煙者と女性喫煙者の割合には大きな差があります。ワシントン大学の研究によれば、2020年には全世界で男性の32.6%が喫煙していたのに対し、女性は6.5%でした。
喫煙はがんの主要なリスク要因であり、肺がん、口腔がん、前立腺がん、血液がんなどと関連しています。また、男性に多いアルコール摂取も、肝臓がん、大腸がん、前立腺がん、胃がんなどのがんと関連しています。
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