キッチンでよく使うアルミホイル、便利だけど、安全?(上)

アルミホイルは、焼く、グリルする、食品を保存するなど、キッチンで幅広く使用されています。しかし、この一般的な家庭用品が健康に潜在的なリスクをもたらす可能性があるとして、専門家の間で懸念が高まっています。

研究によれば、特に酸性や塩分の多い食品を調理する際に、アルミニウムが食品に浸出する可能性が示されています。これにより、体内にアルミニウムの蓄積が進み、その影響が健康被害に及ぶのではないかと懸念されています。アルミニウムは日常的に多くの製品に含まれており、その累積の影響を理解することが重要だと指摘しています。

 

キッチンの必需品としてのアルミホイル

日本のほとんどの家庭が使用しているアルミホイルは、その耐久性と使いやすさから、料理において非常に便利です。アルミホイルは、野菜をカリカリに焼き上げたり、肉をグリルしたりする際に使われ、均一な熱伝導と焼き加減を保つために便利で、後片付けも簡単になります。

また、アルミホイルは食品の包装やケータリングでも広く使用され、光や空気、微生物から食品を保護する信頼性の高い方法として使用しています。「長年にわたり、アルミホイルは信頼性の高い食品の保存と調理の手段とされてきました」と、アメリカの家庭で広く使われているアルミホイルのブランドを代表する企業の広報担当者は「エポックタイムズ」に述べています。

 

アルミホイルを使った料理に関する最新の研究

アルミニウムの影響について35年以上研究している化学者、クリストファー・エクスリー氏は、「アルミホイルは、私たちが日常的にアルミニウムにさらされる大きな原因となり、体内にアルミニウムが蓄積される可能性がある」とエポックタイムズに語っています。彼は、調理中に食品の水分、特に汁がある場所にアルミニウムが食品に浸出することがあると述べています。

アルミニウムが食品に移行する量は、酸性度、塩分、調理温度、そして調理時間に左右されます。

2020年の研究では、レモン汁や塩などの酸性の材料を使用した場合、魚や鶏肉に含まれるアルミニウムの量が急増し、1キログラムあたり最大42ミリグラムに達しました。特に酸性または塩分の多い食品は、高温で長時間調理すると、アルミニウムをより多く吸収し、これらの食品を頻繁に摂取すると、規制当局が設定した安全な週間摂取量を超える恐れがあると著者たちは指摘しています。

レモン汁や塩などの酸性の材料を使用した場合、魚や鶏肉に含まれるアルミニウムの量が急増する危険性がある(Shutterstock)

 

「アルミホイルから食品へのアルミニウムの浸出は確かに起こり得ることであり、注意喚起する必要がある」と著者たちは記しており、健康リスクを最小限に抑えるために、アルミホイルを使った焼き料理を避けることを推奨しています。

また、『Food Science & Nutrition』誌に掲載された研究では、魚やアヒルなどをマリネにした料理では、アルミニウムの含有量が1キログラムあたり最大117ミリグラムに達しました。研究者たちは、「消費者はアルミホイル使用の危険性について十分に知らされていない」と指摘しています。

アルミホイルで焼くことで、食品中にアルミニウム含有量が増加することがあります。2018年に発表された研究では、アルミホイル使用しないケーキに比べて、使用して焼いたケーキは、アルミニウムの含有量は著しく高く、長期間保存するとさらに増加することがわかりました。

これらの結果は懸念されるものですが、すべての研究が悲観的な見解を示しているわけではありません。2023年に欧州アルミホイル協会が資金提供した研究では、高いばく露があった食事からのアルミニウムレベルの増加は小規模であり、かつ可逆的であると示しました。アルミニウムは、摂取をやめてから10日以内に排出されるか、基準値に戻るとしています。

ただし、その期間中に他の重要なアルミニウム源を摂取しないことが前提です。それでも、専門家は、酸性または塩分の多い食品にアルミホイルを使用する際は、不要なアルミニウムの摂取を最小限に抑えるため、注意が必要だとしています。

これらの懸念に応えて、国際アルミニウム協会はエポックタイムズに対し、ほとんどの研究では、調理器具やホイルから食品に移行するアルミニウムの量はごくわずかであり、その大部分が体内から排出されると述べています。「私たちが食品や食品接触材料から摂取するアルミニウムは、ごくわずかしか体内に吸収されません」と協会は述べています。

アルミホイル(Shutterstock)

 

欧州食品安全機関(EFSA)によると、酸性または塩分の多い食品にアルミ製の鍋やボウル、ホイルを使用すると、食品中のアルミニウム濃度が増加する可能性がありますが、食品中のアルミニウムの正確な量を特定することは難しいとしています。これは、添加物や自然由来のもの、調理中の浸出など、複数の要因が食品中のアルミニウムに影響を与えるためです。

 

アルミニウムはどこにでも存在

アルミホイルだけがアルミニウムの摂取源ではありません。アルミニウムは地殻の約8%を占める最も豊富な金属の一つであり、キッチン以外にも食品、水、調理器具、個人用ケア製品、薬、ワクチン、さらには呼吸する空気にも含まれています。

多くの日常食品、例えばお茶、葉物野菜、一部の穀物などには微量のアルミニウムが含まれています。世界保健機関(WHO)によれば、アメリカの成人は食品や水から1日に7.1〜8.2ミリグラムのアルミニウムを摂取しており、これは週に50〜60ミリグラムに相当します。

多くの日常食品、例えばお茶、葉物野菜、一部の穀物などには微量のアルミニウムが含まれている(Shutterstock)

 

WHOや欧州食品安全機関(EFSA)のガイドラインによると、安全なアルミニウムの週間摂取量は体重1キログラムあたり1ミリグラムとされています。体重約70キログラムの成人の場合、週に最大70ミリグラムまでの摂取にとどめるのが望ましいとしています。

アルミニウムは環境中に広く存在していますが、亜鉛や銅、鉄などとは異なり、私たちの体にとって必要不可欠な金属ではありません。

アメリカ保健福祉省の一部である有害物質・疾病登録局によると、人間の体は通常、腎臓を通じて少量のアルミニウムを排出します。特に腎臓に問題がある人にとっては高レベルのアルミニウムは有害となりますが、通常の食事や環境からの、ばく露はほとんどの人にとって大きな懸念事項とは考えられていません。

しかし、クリストファー・エクスリー氏は、多くの人が日常的にどれだけアルミニウムにさらされているかを認識していないと指摘しています。「私たちは、蜂が蜜を集める際にアルミニウムにも同時にさらされていることに気づかないように、日常生活でアルミニウムにさらされる無数の方法に気づいていません」と彼は『Environmental Science: Processes & Impacts』誌に記しています。

(つづく)

 

(翻訳編集 華山律)

10年にわたる執筆キャリアを持つベテラン看護師。ミドルべリー大学とジョンズ・ホプキンス大学を卒業。専門知識を取り入れたインパクトのある記事を執筆している。バーモント州在住。3人の子を持つ親でもある。