アメリカ・オハイオ州に住む三姉妹は、偶然、銀行の金庫に40年以上、静かに眠っていた一枚のテンセント(10 Cents)コインを相続しました。しかし、この小さくて、欠陥があるコインがとてつもない希少価値を持っていることを三人の誰も知りませんでした。このコインは彼女たちに巨額の富をもたらすかもしれません。
AP通信の報道によると、GreatCollections社イアン・ラッセル(Ian Russell)社長はこのコインは1975年アメリカ・サンフランシスコ造幣局で製造されたもので、非常に珍しくて、オークションで50万ドル超える価格で取引されてもおかしくないと断言したそうです。GreatCollections社は貨幣オークション専門の会社で、現在、10月に終了する予定のオークションを取り掛かっています。
コインにはフランクリン・D・ルーズベルト大統領(Franklin D. Roosevelt)の肖像が描かれています。しかし、サンフランシスコ造幣局を表すイニシャル「S」の刻印は欠けています。同じ欠陥を持っているコインは2枚しかありません。小さなミスによって生まれた希少性はコインの価値を高くしました。硬貨コレクターにとっては熱望する一品となります。一枚は今回のコインで、もう一枚は2019年にオークションに出品され、45万6千ドルの金額で落札され、後に個人コレクターに転売されました。(ここをクリックすると関連画像が表示されます)
「Sなし」(no S)テンセント(10 Cents)コインの存在は硬貨コレクターの間に有名な話でしたが、1970年代後半から、その行方は謎に包まれていました。
「数十年、姿を隠していた」とラッセルさんは「コレクターもバイヤーも見たことはある人はほとんどいない」と紹介しました。
ラッセルさんによると、オハイオ州に住む三姉妹は、最近亡くなった兄弟からこのテンセントコイン(10 Cents)を相続したそうです。予期せぬ財産の持ち主になった彼女たちは、報道には名前を伏せるように希望しました。
三姉妹の兄弟と母親が1978年に1万8200ドルの価格でコイン購入したそうで、いまなら約9万ドルに相当します。彼女たちの両親は酪農家であり、資産価値を守るためにコインを購入したようだとラッセルさんは紹介しました。
コインの話は兄弟からしばしば聞いていたが、実際目にしたのは昨年が初めてだったと三姉妹の一人は述べました。
ラッセルさんの会社はカリフォルニア州アーバイン(Irvine)にあり、三姉妹の兄弟は約7年前にラッセルさんに連絡し、コインの話をしました。ラッセルさんはこの秘密をずっと守り続けました。
数年前、ラッセルさんは三姉妹の一人にコインの価値を伝えると、「ほんとに?」と彼女は驚きを隠せませんでした。
現在、「1975年ノーS」と名付けられたこのコインはフロリダ州タンパ(Tampa)で水曜日に開催されている硬貨展示会で公開し、オークションが終了する10月末まで展示される予定です。
ニュースウィークに送った電子メールの中で、ラッセルさんはこのコインの価値を指摘しました。彼は「弊社にとって、このコインは非常に盛り上がる商品であり、ご覧の通り、今の時点で入札額はすでに25万ドルに達しました」と興奮を隠せませんでした。
「1913年のニッケル硬貨2枚や、1804年のドル銀貨2枚など含め、長年に渡って、様々な硬貨を扱ってきたが、1975年の『No S』ダイム(10 Cents、テンセント)をオークションにかけるのは今回が初めてで、これは現代アメリカ硬貨の中で最も重要なものです」とラッセルさんは述べました。
(翻訳編集 正道 勇)
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