長期的な減量と激しい運動を続けると、知らずに体に必要なエネルギーが不足し、深刻な影響を引き起こす可能性があります。
生理的なニーズとトレーニングの要求に見合ったエネルギーを摂取できていない場合、筋力トレーニングや水泳、ランニングなどの活動にはエネルギーが足りても、臓器が最適に機能するためのエネルギーが不足する可能性があります。この状態は低エネルギー可用性(LEA)と呼ばれ、健康維持に必要な生理機能に十分なエネルギーが行き渡らない状況を引き起こします。
ART Health Solutionsの栄養士であるメアリー・カリスティン氏は大紀元に対し「短期的な成果や見た目以上に、健康と長期的な幸福が重要です」と述べました。
「低エネルギー可用性(LEA)は、競技成績だけでなく、全体的な健康や生活の質にも影響を及ぼす深刻な状態です」と彼女は述べています。「バランスの取れた栄養、十分な休息、自己ケアを優先することで、パフォーマンスを向上させるだけでなく、将来的な心身の健康も守ることができます」。
エネルギー必要量の理解
エネルギー消費量が多いにもかかわらず、食事やエネルギー摂取を十分に増やしていない人々は、特にLEAリスクが高いと見られています。
養士のカリスティン氏によれば、特に持久力を必要とするスポーツや筋力トレーニングを行うアスリートがこのリスクにさらされやすいとのことです。また、体重管理や見た目の維持を重視する人や、ボクシングや馬術など「階級制スポーツ」で体重調整を求められるスポーツに取り組む人は、特にこのリスクが高いとされています。
アメリカ栄養と食事のアカデミーのジュリー・ステファンスキー氏によると「体内のエネルギーの約70%は、呼吸や心拍の維持、食物の消化・吸収、細胞の修復などの基本的な機能に使われます」とのことです。エネルギー不足は単なる体重減少以上の健康被害を引き起こします。
エネルギー不足がパフォーマンスを向上させるという考えに反し、実際には逆効果となります。LEAは耐久力や筋力の低下、集中力の低下、ケガのリスク増加といった悪影響をもたらします。さらに、骨折やストレス障害の原因ともなります。一般的な症状には、ケガや疲労骨折が挙げられます。
LEAの長期的影響
エネルギー不足が続くと、骨の健康維持に欠かせないホルモンであるプロゲステロンやエストラジオールの分泌が低下します。エストラジオールは骨を造る骨芽細胞を活性化し、古い骨を吸収する破骨細胞の活動を調整する働きがあります。エネルギー摂取が不十分だとこれらの細胞の機能が弱まり、骨の形成よりも骨の吸収が促進されます。こうしたバランスの崩れが長期にわたると、骨の疲労やストレスによるケガ、さらには骨粗しょう症のリスクが高まる可能性があります。
意図的であろうとなかろうと、LEAは、代謝の低下やホルモン不全、不安やうつ症状などの精神的な問題も引き起こす恐れがあります。また、消化機能の低下や生殖ホルモンの減少により、免疫力の低下や感染症へのリスク増加も懸念されています。
LEAの初期兆候
カリスティン氏によれば、LEAの初期兆候には以下のようなものがあります。
意図しない体重減少または体重維持の困難
パフォーマンス低下、疲労感の増加、回復の遅れ
性欲減退またはホルモン異常
生理不順(軽い、短い、または消失)
骨の健康低下、疲労骨折リスクの増加
免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる
胃腸の不調
協調性の低下運動障害
慢性的なイライラと空腹感(「ハングリネス」)
回復に向けた対策
カリスティン氏は、LEAを予防または回復するために、十分な栄養摂取に重点を置くよう勧めています。エネルギーを補うには、炭水化物、タンパク質、そして健康的な脂肪を適切に摂取することが大切です。また、休息と回復も組み合わせ、体が修復・再生し、バランスを維持できる時間を確保しましょう。
適切な栄養管理はカロリー摂取だけではなく、以下の点も考慮してください
主要栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)と微量栄養素(ビタミン、ミネラル)のバランスをとります
特にトレーニングセッションの前後には、食事の時間を適切にとってください。
専門家の判断に従って、エネルギー摂取量を徐々に増やしてください。
怪我を防ぎ、回復を助けるために、最初はエネルギー出力とトレーニングの強度を減らしてください。
栄養摂取の指針
運動をする女性は、体重1キログラムあたり1.6グラム以上のタンパク質摂取を目指すと良いでしょう(たとえば、体重150ポンド(約68キログラム)の場合、1日112グラムのタンパク質が推奨されます)。十分な炭水化物摂取量を確保してください。摂取量が不足すると、認知能力が低下し、筋肉グリコーゲンが枯渇して、疲労やトレーニング能力の低下につながるため、運動パフォーマンスが低下する可能性があります。
また、健康的な脂質は1日のカロリー摂取量の20%以上を占めることが望ましく、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収や必須脂肪酸の不足を防ぎます。脂肪摂取が少ないと、骨の強度が低下し、けがのリスクも高まるとされています。
回復プロセス
「低エネルギー可用性からの回復には、特に骨密度に影響が出るほど悪化している場合、かなりの時間がかかることがあります」とジュリー・ステファンスキー氏は述べています。体に十分な栄養とエネルギーが供給されることで、生殖や筋肉の成長に関わるエストロゲンなどのホルモンが正常な状態に戻りますが、骨の形成や月経周期が完全に安定するまでには数か月を要することもあるそうです。
さらにステファンスキー氏は「周囲の意見を真摯に受け止めることが重要です。たとえば、栄養士やコーチ、友人や家族が栄養不足を心配している場合、自分の食事内容が適切かどうかを真剣に見直す時期かもしれません」と指摘しています。
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