睡眠は人生の3分の1を占めています。アメリカ国立衛生研究所によると、良質な睡眠は脳や体の正常な機能を支えるのに不可欠です。寝つきが悪いと感じる方は、寝るときに靴下を履くことで、すぐに眠りにつけるかもしれません。さらに、靴下を履いて寝ることで他にも多くのメリットがあることがわかっています。
体温を整える靴下の効果
靴下を履いて寝ると足が熱くなると感じる方もいるでしょう。しかし、実際には体温調節を助け、体の内部の温度を下げる効果があるのです。2007年の研究では、靴下を履くと寝つきが早くなることが確認されています。
人の平均体温は約37°Cで、1日の中で1~2°Cの温度差が生じます。特に夜になると体温が自然に下がり、早朝4時頃に最低温度に達します。手足が暖まることで血流が促進され、体は熱を放出しやすくなります。このメカニズムにより、体温が下がり「眠るべき」という信号が脳に伝わり、睡眠に入りやすくなるのです。
睡眠と体温のリズム
体温は体内時計によって変動し、これを「概日リズム」と呼びます。概日リズムにより、私たちは夜になると自然に眠気を感じ、朝になると目が覚めるようになっています。日中は体温が上がり、夕方にピークを迎えますが、夜になると再び体温が下がり、眠気を誘うのです。
夜間の体温低下はエネルギー節約や臓器の働きをサポートする役割があるとも考えられています。靴下を履いて寝ることで、この概日リズムが促進され、寝つきが良くなる効果が期待できます。また、寝室の温度を少し下げることもスムーズな睡眠に役立ちます。理想的な室温は約20°Cとされています。
靴下を履いて寝るその他のメリット
更年期のほてりや紅潮を緩和
更年期にはホルモンバランスの乱れにより、急なほてりや発汗が起こることがあります。夜に靴下を履くと体温が安定し、紅潮の改善が期待できます。
レイノー病の症状を軽減
手足が冷えやすい「レイノー病」は、血管が収縮し血流が悪くなることで手足の冷えやしびれが生じます。寝るときに靴下を履くことで足を温め、血流の改善が期待できます。
靴下が苦手な方へ:代替方法
「靴下を履くのが苦手」という方もいるでしょう。以下の方法で、靴下と同じような効果を得られます。
- 寝る前にお湯に足を浸ける
- 暖かいスリッパを履く
- 足元に湯たんぽを置く
- 足に毛布をかける
- 寝る1~2時間前にお風呂に入る
また、締め付けのない靴下を選ぶことが大切です。医師の指示がない限り、睡眠時の圧縮ストッキングの使用は避けましょう。
(翻訳・柳生和樹)
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