2025年6月7日、山東省鄒城市の「高考」会場で、受験生が突如錯乱し、自身と他の受験生の答案用紙を破り捨てる騒動が発生。(動画よりスクリーンショット)
「運命を変える試験」がもたらす過剰な重圧

受験生が試験中に錯乱 大学受験の重圧で =中国・山東省【動画あり】

6月7日、中国で全国統一大学入試「高考(ガオカオ)」がスタートし、1335万人の受験生が、未来を賭けて試験に臨んだ。

試験会場の外には、チャイナドレスをまとった母親──いや、父親までが姿を見せた。縁起を担ぐため「旗袍(チーパオ)」を身にまとうこの風習は、「旗開得勝(またたく間に勝利を得る)」という吉祥語にかけたもので、スリットの切れ込みは「高ければ高いほど良い」とされ、受験生の健闘を祈る親の「最後の願掛け」だ。

しかしその熱気の裏側には、深刻な就職難と教育制度の矛盾がある。高得点を取り、名門大学を卒業しても、将来が約束されているとは限らない。一流大学の卒業生ですら定職に就けず、ホワイトカラーとしてではなく、配達員として日々をつなぐ現実があるにもかかわらず、それでもなお、貧困からの脱出手段として、親たちは「高考」に全てを託す。だが、その圧力が今、子どもたちの心を確実にむしばんでいた。

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