中国共産党の重要政治会議「両会」で、最高人民法院(最高裁)トップの張軍は9日に活動報告を行い、「我が国は世界で最も安全な国の一つだ」と自賛したことが波紋を呼んでいる。
活動報告では犯罪件数や逮捕・起訴の統計が示され、「逮捕が承認された件数と公訴提起の件数が前年同期比でそれぞれ11.7%、13.9%減少」「2025年の全国裁判所で審理された重大な暴力犯罪の件数が前年同期比で11.4%減少した」と訴えた。
ネット上では「強姦の件数はインドを超えているのに、よく最も安全と言えるものだ」といった声や「実感がない」とする声が挙げられているほか、「冤罪や誤判も相当数あるはずだ」といった指摘も相次いだ。
このほか、「政権にとって不都合な人は消されるかもしれないのに」と皮肉をこめた投稿もみられた。
現在は米国に在住している中国の元弁護士、吳紹平氏は新唐人の取材に対し、当局の主張は「またしても自画自賛の大嘘」であると述べた。吳氏はまず統計自体の信頼性を問題視し、「いかなる数値も第三者の監督がなくては信用できない。多くの安全に関わる事件が当局によって立件されておらず、したがって統計に反映されていない」と指摘した。
さらに呉氏は、一般市民の安全に対する実感は当局の発表と大きく乖離しているとし、例として各地の小中学校の登下校時の光景を挙げた。学校の門前に保護者が押し寄せる光景は、失踪者、特に児童・生徒の失踪や死亡が多発していることの表れだと説明した。こうした状況は他国では極めて稀だという。
また、住宅の窓に防犯ネットがほぼ全面に取り付けられていることも人々が自分と家族の財産・生命の安全を懸念している証拠だと語った。近年、中国各地で無差別殺人事件が相次ぎ、街中を歩く市民がいつ被害に遭うかわからない状況が続いていると述べた。
吳氏はさらに、「一般庶民は両会にほとんど関心がない。庶民とは関係のない当局の自己宣伝にすぎない」と断じた。
近年、当局は度々「中国は世界で最も安全な国の一つだ」との主張を繰り返してきた。昨年も公安部が同様の主張を行い、海外のネットユーザーからの嘲笑を買っている。
X上でも当局への皮肉は相次いだ。「中国のどの小中学校の親が、子どもを送り迎えしないで済むと思うか。世界で最も安全などと言えないだろう」「問題を提起した人間を不当に拘束し、被害者を黙らせてしまえば統計は良く見える」「公権力機関こそ犯罪率が最も高いのではないか」「自画自賛という点では確かに世界一だ」といった辛辣な書き込みが見られた。
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