世界的に有名なオークションハウス、サザビーズ(Sotheby’s)は、アフリカで発見された隕石が今月中旬に競売にかけられる予定であり、これはこれまでに発見された中で最大の火星由来の岩石であると考えられており、最大で400万ドルの高値が予想されると発表しました。
サザビーズは公式ウェブサイト上で、この地球上で最大の火星の破片は、巨大な小惑星が火星の表面に衝突した際に宇宙空間へ放り出され、約2億2500万kmを飛行し、地球の大気圏を突き抜けてサハラ砂漠に落下したと説明しています。
この火星岩石は「NWA 16788」と命名され、2023年11月16日にニジェールの僻地で隕石ハンターによって発見されました。重さは24.67kgで、地球上で発見された2番目に大きい火星隕石よりもおよそ70%大きい体積を持っています。
地球上に存在する火星由来の隕石は極めて稀です。公式に認定された77,000個以上の隕石のうち、火星から来たとされるものはわずか400個で、総重量は約374kgにすぎません。
NWA 16788は赤褐色の溶融殻に覆われており、独特の火星らしい色調を呈しています。その表面には、地球の大気圏を高速で通過する際の摩擦熱によって形成されたくぼみも確認できます。
この隕石には陸上での風化痕がほとんど見られず、サハラ砂漠に到達して以来、物理的・化学的な変化がほとんど起こっていないことを示しています。言い換えれば、NWA 16788は最近になって地球に落下した可能性が高いと考えられます。
NWA 16788の体積の21.2%はガラス状の物質で構成されています。この物質は小惑星が火星の表面に衝突した際の衝撃によって生成されたもので、その衝撃によって元の長石が高温高圧下で変質し、同時にこの火星の破片が火星から弾き飛ばされました。
サザビーズはこの隕石について「火星のマグマがゆっくりと冷却される過程で形成され、粗粒の構造を持ち、主に輝石・輝長岩・かんらん石で構成されている」と説明しています。
NWA 16788は火星隕石であることが確認されており、隕石科学の権威誌『隕石公報(Meteoritical Bulletin)』の第113号(2025年)に掲載されています。
サザビーズに届く前、この隕石はイタリア宇宙庁(Italian Space Agency)が開催した「2024年ヨーロッパ研究者の夜(2024 European Researchers’ Night)」にて一般公開されました。
サザビーズによると、NWA 16788は7月16日にオークションにかけられる予定で、200万ドルから400万ドルの価格が予想されています。
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