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焼き魚と漬物でがんになる? 栄養士が食の迷信を解明

「焼き魚と漬物を一緒に食べると発がん性がある」「トマトとキュウリは一緒に食べてはいけない」といった食に関する警告を聞いたことはありませんか?健康のために、どう食べればよいのか悩んでいませんか? 台湾の「可苡栄養相談センター」の栄養士・黄苡菱氏は、番組『健康1+1』の中で、こうした食の迷信について複数取り上げて解説しています。黄氏は、特定の食品の組み合わせを過度に心配する必要はなく、重要なのは栄養バランスと調理法であり、おいしさと健康は両立できると話しています。
 

焼き魚+漬物でがんになる?

焼き魚と漬物を一緒に食べると、発がん物質であるニトロソアミンが生成されるという説があります。黄氏によると、魚に含まれるアミン類と漬物に含まれる硝酸塩が腸内の善玉菌の働きによって反応し、ニトロソアミンが生成される可能性はありますが、それが健康リスクにつながるかどうかは、全体の栄養摂取の状況によるといいます。正しい食習慣を守れば、ニトロソアミンの問題を過度に心配する必要はないと述べています。

黄氏は、腸内環境や摂取する食品の種類は非常に複雑であり、ニトロソアミンの生成は単一の食品の組み合わせだけで決まるものではなく、全体的な食生活を考慮する必要があると説明しています。焼き魚と漬物を安心して食べたい場合は、以下の方法でリスクを減らすことができます:

1.抗酸化食品を多く摂る:野菜や果物、特にビタミンCを多く含むものを食べることで、硝酸塩が亜硝酸に変わるのを抑える効果があります。

2.食品を一種類に偏らず適量摂る:適切な量を摂り、栄養バランスを保つことで、健康リスクを下げることができます。
 

納豆+生卵で抜け毛?

納豆に生卵を加えると、ビオチン(ビタミンH)が欠乏し、ひどい場合は抜け毛や白髪につながる」という説もあります。黄氏によると、卵白に含まれるアビジンという成分がビオチンの吸収を阻害します。少量(卵黄のみなど)の摂取であれば大きな影響はありませんが、長期間にわたって大量に生卵(特に全卵)を摂取すると問題になる可能性があります。たとえば、筋肉をつけるために一度に5〜6個の生卵を食べるアスリートもいますが、そういった習慣はビオチン不足を招き、髪の健康に悪影響を及ぼし、抜け毛や白髪の原因になる可能性があります。

ビオチンは髪・爪・肌だけでなく、エネルギー代謝にも関わっており、摂取が不足すると精神的・体力的にも悪影響が出るおそれがあります。そのため、生卵を食べたい場合は適量に抑え、毎日ではなく多様な食事と組み合わせて、栄養バランスを取ることが大切です。
 

ほうれん草+豆腐で結石ができる?

「ほうれん草と豆腐を一緒に食べると結石ができる」という説がありますが、黄氏によると、ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれ、豆腐にはカルシウムが豊富に含まれています。この二つが組み合わさることでシュウ酸カルシウムが形成されますが、これは腸内で吸収されにくく、便として排出されるため、むしろ腎結石の予防になるといいます。

この効果は、カルシウム含量が高い「木綿豆腐」でより顕著です。「絹ごし豆腐」は、凝固剤にカルシウムが含まれていないことが多いため、同様の効果は期待できません。

また、シュウ酸を多く含む食品(例:イチゴ、たけのこ、ほうれん草、空芯菜、セロリなど)を食べる際には、カルシウムを十分に摂取することで、腸内でシュウ酸と結合し便として排出され、血中に入り腎臓で代謝されるリスクを減らすことができます。

なお、黄氏は「ビタミンCを高用量で摂取すると、体内でシュウ酸が生成されやすくなり、シュウ酸カルシウム結石のリスクが高まる」として、1日のビタミンCの摂取量を1,000mg以下に抑えるよう呼びかけています。
 

トマト+キュウリの迷信

「トマトとキュウリを一緒に食べると、キュウリに含まれる酵素のせいでビタミンCが壊れる」という説もありますが、黄氏は「実際にはそれほど深刻ではない」と説明しています。人体の腸内環境は実験室よりもはるかに複雑で、食べ物が腸に入ると、特定の酵素があるからといってビタミンCが完全に失われるわけではありません。酵素はたんぱく質であり、胃に入ると胃酸の影響でその活性は大きく低下するため、実験環境のようにビタミンCを分解することはありません。

ただし、黄氏は「トマトとキュウリを一緒にジュースにして完全に混ぜると、多少の影響はあるかもしれないが、普通のサラダとして食べる分にはビタミンCの損失を心配する必要はない」と述べています。
 

栄養バランスがカギ

黄氏は、栄養密度が食品の質を判断する重要な指標であると強調しています。たとえば、脂身の多い肉よりも赤身肉のほうが、たんぱく質や鉄・亜鉛などのミネラルが豊富で、栄養密度が高いといえます。また、白米よりも玄米や雑穀米のほうが食物繊維や微量栄養素を多く含んでおり、ナッツ類は食用油よりも必須脂肪酸、ミネラル、ビタミンEなどを豊富に含んでいます。

彼女は、過剰に揚げたものや高度に加工された食品の摂取を避けるよう勧めています。そういった食品には人工添加物が多く含まれており、栄養も少なくなりがちです。120度以下の低温調理を行うことで、より多くの栄養素を保持することができます。また、食品の「鮮度」も重要であり、外食の際は新鮮でその場で調理された食事を選ぶようにするとよいでしょう。
 

加工食品はどう選ぶ?

黄氏は、加工食品がすべて不健康というわけではないと述べています。豆腐、豆乳、こんにゃくなどの「一次加工食品」は、原料の栄養を保ちつつ、最低限の添加物しか含まれていません。たとえば、豆腐には硫酸カルシウムやにがりが添加されており、カルシウムを豊富に含むことで、むしろ栄養価が高まっています。こうした食品は、適量であれば問題ありません。

缶詰食品も高温加工されていますが、添加物が少なければ栄養補給として活用できます。たんぱく質、糖質、脂質、ミネラルは比較的保たれますが、ビタミンの一部は失われることがあります。

一方で、「高度加工食品」には、品質改良剤、着色料、うま味調味料などの添加物が多く含まれており、体に負担をかける可能性があります。そのため、食品を選ぶ際には成分表示をよく確認し、添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。
 

シンプルな調理でもおいしくできる

黄氏は、「健康的な食事=無味」というわけではないと話します。油・砂糖・塩を完全に排除するのではなく、食材と調味の工夫によって、おいしさと栄養を両立することが可能です。

おすすめの工夫は以下の通りです:

1.天然の香辛料を使う:こしょうや七味などで風味を引き立てます。

2.食材の自然な甘みを活かす:キャベツ、にんじん、玉ねぎ、カボチャなどの甘味を利用すれば、砂糖の使用を抑えることができます。

3.良質な油を選ぶ:使いまわした油や低品質の油は避け、高品質の油脂を使用しましょう。

 

英文大紀元が提供する医療・健康情報番組「健康1+1」の司会者を務める。海外で高い評価を受ける中国の医療・健康情報プラットフォームであるこの番組では、コロナウイルスの最新情報、予防と治療、科学研究と政策、がんや慢性疾患、心身の健康、免疫力、健康保険など、幅広いテーマを取り上げている。
林一山