困難な場面に直面して、決断できずに立ち止まってしまったことはありませんか? 私自身、そうした状況になると、物事が速く進みすぎて、追いつくことも理解することもできないのではないかと感じる事があります。そんなとき、私はつい、自分がすでに知っていること、予測していること、そして「こうであってほしい」と願っていることに、つい頼りたくなります。
もちろん、こうした粘り強さは状況によっては称賛されるべきものですが、絶えず変化する世界では、それだけに頼るのは得策ではありません。それは、常にフラストレーションを抱えることになり、時代に取り残される可能性があります。
柔軟な思考(mental flexibility)は、流行に飛びついたり、気まぐれに意見を変えたりすることではありません。そうではなく、しなやかで機敏で、好奇心に満ちた人生への姿勢のことを指します。
柔軟な思考を持つ人は、変化に直面しても、自分の世界観が崩れたとは感じません。進む方向を変えても、それまでの時間が無駄だったとは思いません。対立する考え方にも、自分のアイデンティティが脅かされることなく向き合えるのです。このようにして、人生における予期せぬ出来事に対しても、しなやかに向き合えます。
もし、人生に何が起ころうとも、それに適応できる強さや柔軟さを身につけたいと思うならば、ぜひこの先を読み進めてください。ここでは、柔軟な思考がもたらす具体的な利点と、それを育てるための心構えについて紹介します。
柔軟な思考がもたらす6つの利点
1. 変化に素早く対応できるようになる
人生は決して止まってはくれません。仕事は変わり、私たちは年齢を重ね、周囲の状況も変わっていきます。この変化を「約束されていたはずの安定」が失われたように感じて、苛立ちを覚える人も多くいます。しかし、柔軟な思考を持つと、新しい状況にすばやく順応し、その中で最善を尽くす事ができます。
2. 問題解決に創造性を発揮する
柔軟さがあると、物事を多角的に見ることができます。多くの人が見落としている視点にも目を向けることができるので、新しい状況でも独創的なアイデアを生み出すことができます。創造性は、異なる分野の考えを結びつけることで生まれる「知的な敏捷性」から生まれるのです。
3. 複雑な状況でもより良い判断ができる
時には優れたリーダーでさえも頑固になってしまうことがあります。一度選んだ道に固執し、過去にうまくいった方法以外を考えようとしません。そうなると、過去の成功体験が通用しなくなり、周りから置いていかれる事になります。柔軟な思考とは、「状況が変わるなら、自分も変わらなければならない」という現実を受け入れられる頭脳の事を指します。
4. 人間関係の改善につながる
人間関係での衝突の多くは、互いに相手の立場を理解しようとしないことから生じます。「自分が絶対に正しい」と思ってしまうと、相手の意見を尊重するのが難しくなります。柔軟な思考を持つ人は、自分の信念を持ちつつも、他人の考えを正当なものとして受け入れる謙虚さも持ち合わせており、対話(ダイアローグ)のきっかけを作ることができます。
5. ストレスが軽減され、感情が安定する
私にとって最もストレスを感じるのは、「人生が勝手に進んでいて、自分にはどうすることもできない」と感じるときです。数年前、自宅に関する予想外の出費が重なり、何千ドルもの請求が次々ときました。そのとき、「運命を受け入れ」て支出をより創造的に考えることで、私は心のバランスを保つことができました。
6. 困難に直面しても挫けにくくなる
一つの選択肢しかないと思っている人は、その道がうまくいかないとすぐに挫折してしまいます。他の道を想像することができず、「すべてが失われてしまった」と感じてしまうのです。私の予想外の出費のときも同様で、出費したお金を取り戻せないものの、他の分野で節約するという別の道があることに気づきました。
柔軟な思考を育てる3つの方法
1. 自分の思い込みを定期的に疑う
いくつかの大切な価値観や信念を除いては、自分の考えを定期的に見直し、もっと良いやり方がないかを検討することが大切です。それは、ただ教えられたことを鵜呑みにするのではなく、自分自身の経験を通じて検証していくという「自分で考える」姿勢を持つことです。
2. 多様な視点や意見を受け入れる
自分の意見と合致する情報だけでなく、異なる立場の人々や情報源にも意識的に触れてみましょう。そして、それらの意見がどのように主張を展開しているのか、最も説得力のある形で理解できるようになるまで、すぐに否定せずに受け止めることが大切です。
3. 自分の快適ゾーンから出る
柔軟性を失う原因は、日々の快適さや習慣に過剰に慣れてしまうことにあります。確かに快適さは魅力的ですが、それに慣れすぎると、それらにしがみつきたくなります。意識的に、不快な状況に自分を置くようにし、自分の限界を広げる訓練をしましょう。
(翻訳編集 井田千景)
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