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スイカを慎重に食べるべき5つのタイプの人

7月は「全米スイカ月」にあたります。盛夏のこの季節、ロサンゼルスの大手スーパーマーケットでは、ほとんどの買い物カゴに1〜2個のスイカが入っている光景が見られます。人々がスイカを好む理由は、水分補給だけでなく、暑さを和らげ、喉の渇きを癒し、疲労を回復するなど、数々の健康効果があるからです。

カリフォルニア州は、アメリカにおける4大スイカ産地のひとつで、年間生産量は50万トンを超え、スイカの農場取引総額は1億5千万ドルを上回ります。中でもセントラルバレーは州内の主要な産地であり、北カリフォルニアおよび南カリフォルニアの都市部へと絶えず出荷されています。
 

スイカの健康効果

スイカは水分、糖質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質を豊富に含み、特にビタミンAとCの含有量が高いのが特徴です。

また、スイカは伝統的な漢方薬の素材としても重宝されています。『中薬大辞典』によれば、スイカには体の熱を冷まし、暑気を払う作用や、喉の渇きを癒す効果、便通を促進する働き、さらには口内炎などの熱性疾患の改善効果があるとされています。舌が乾いて喉が渇き、ぼんやりとして話す気力もないようなときには、スイカジュースをゆっくりと一杯飲むことで症状の緩和が期待できます。また、夏から秋にかけての下痢や不安感の緩和にも役立ちます。

スイカは約92%が水分で構成されており、効果的な水分補給が可能です。特に運動後には、失われた水分を補うのに最適です。ビタミンAとCは、肌や目、免疫機能の健康維持に良いとされ、カリウムやマグネシウムといったミネラルは、血圧の調整や筋肉・神経系の正常な働きを支えます。

近年の研究では、スイカに含まれるアミノ酸「L-シトルリン(L-citrulline)」に抗酸化作用、血管拡張作用、血圧低下の潜在的効果があることが示されており、運動後の筋肉痛軽減や血液循環の改善、酸素や栄養素の筋肉への供給効率を高めるといった効果も期待されています。

そのほか、スイカに含まれるカルシウムは、筋肉のけいれん予防や激しい運動後の筋肉の緊張緩和に寄与します。また、豊富に含まれるリコピンやその他の抗酸化物質は、老化防止やがん予防にも有効とされます。さらに、ビタミンB6は、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の生成に不可欠であり、これらの物質は情緒の安定にも関わっています。
 

スイカを食べる際の注意点

スイカは美味しい果物ですが、すべての人にとって適しているわけではありません。

ロサンゼルス・ローズミードにある「興宏中医診所」の中医師、鄭振龍氏は、スイカは「寒涼性」の食べ物であり、特に冷蔵庫から出したばかりの冷たいスイカは「寒さに寒さを重ねる」状態になると説明しています。これを摂取すると、腸や胃が収縮し、血管も狭くなりやすく、一部の人には健康に悪影響を及ぼす可能性があるといいます。

鄭医師は、次の5つのタイプの人はスイカの摂取に注意すべきだと述べています。

1、心血管疾患のある人:このような方が冷蔵庫から出したばかりのスイカをそのまま食べると、心筋けいれんを起こす可能性があり、命に関わる危険性もあります。どうしても食べたい場合は、常温に戻してから、少量にとどめるのが望ましいです。

2、胃腸が弱い人:鄭医師によれば、中医学でいう「脾虚(ひきょ)」の状態にあり、下痢をしやすい人は、スイカの摂取で症状が悪化する可能性があります。

3、40〜50代以上の中高年層:更年期を過ぎると腸内の善玉菌が減り、悪玉菌が増えやすくなります。寒涼性のスイカを摂ると善玉菌に悪影響を与え、悪玉菌の増殖を助けてしまう可能性があるため、中高年の方はスイカの摂取に注意が必要です。

4、糖尿病患者:スイカは糖度が高い果物ですが、水分が90%以上を占め、糖分はおよそ5%程度で、その大部分は果糖です。スイカは「低グリセミック負荷(GL)」食品であり、血糖値の上昇は比較的緩やかですが、吸収が早いため、高血糖傾向のある方は慎重に摂取すべきです。

5、妊婦:妊娠中の女性がスイカを食べる際は、特に冷えたスイカを避けることが推奨されます。冷たい刺激が子宮を収縮させ、流産のリスクを高めるおそれがあるからです。

最後に鄭医師は、スイカを食べるのに最も適した時間帯は「昼間」であると助言しています。中医学の観点では、朝にスイカを食べると「陽気(ようき)」を傷つけやすく、夜に食べると睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があるとされます。昼間に食べることで、体がスイカによって生じた「寒気」を十分に排出できるため、最も安全なタイミングだとされています。

 

馬尚恩