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かゆみを鎮める自然療法:食事と伝統ケア

かゆみは単なる不快な症状にとどまらず、慢性的な不快感の原因となり、眠れない夜や、掻くことで症状を悪化させることもあります。かゆみの原因には、食べ物、環境要因、あるいは体内の不均衡などがあり、しばしば皮膚表面だけにとどまらない深い問題を示すこともあります。中医学では、即効性のある緩和と長期的な改善の両方を重視し、何世代にもわたって検証されてきた療法が活用されています。

食事:食べ物とかゆみの関係

食べるものは、肌の健康に大きな影響を与えます。特定の食品はアレルギー反応を引き起こすほか、消化器系に負担をかけてかゆみを誘発することがあります。

魚介類(魚、エビ、カニ)や赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉)、鶏肉などは、過剰に摂取するとかゆみの原因となる場合があります。これらの濃厚で消化しにくい食品は、消化器官にストレスを与え、免疫反応を引き起こすことがあります。

皮膚の症状としては、地図のような赤い膨疹や腫れた赤い斑点、小さな丘疹、水疱などが見られることがあります。適切な治療が行われない場合、嘔吐、下痢、倦怠感、疲労などの全身症状が出ることもあり、体内に毒素が蓄積しているサインと考えられます。

なお、重度のアレルギー反応の場合には、すぐに医療機関を受診する必要があります。

アルコールによるかゆみ

アルコール摂取直後にかゆみを感じる人もいます。広範囲に赤い斑点や小さな赤い丘疹が現れることがあり、体がアルコールを代謝して汗や尿として排出するにつれて、自然と症状が軽減するケースもあります。
 

かゆみを引き起こす外的要因

食物や飲料以外でも、環境中の毒素や寄生虫など外的要因が、強いかゆみを引き起こすことがあります。これらはしばしば、体内のより深い不均衡や基礎疾患を示すこともあります。

毒素によるかゆみ

中医学の古典『諸病源候論』では、強い毒性のある物質を口、鼻、耳、目などから取り入れることにより、持続的なかゆみが生じ、重症になると内臓にまで影響を及ぼす可能性があると述べられています。

毒素によるかゆみは、広範囲に赤く腫れた斑点や丘疹、膨疹などの形で現れます。現代での例としては、殺虫剤の吸入によるアレルギー反応などが挙げられます。

また、膿瘍やおできの初期段階では、局所的な強いかゆみがみられることがあり、これは「毒熱(どくねつ)」がまだ集中していない状態を示しています。

このような場合の伝統的な療法としては、緑豆、小豆、ハトムギを等量で煮たお粥が用いられ、2〜3日以内に症状の緩和が期待されます。

寄生虫によるかゆみ

寄生虫が原因となるかゆみ(例:疥癬)は、指の間、足指の間、肛門、性器、下腹部、乳房の下など、皮膚のしわや隙間に現れやすく、場合によっては全身に広がることもあります。

昼間は皮膚下で休眠していますが、夜になると活動を始め、皮膚の下を移動しながら交尾や摂食を行うため、かゆみがひどくなります。

その感覚は、しばしば針で刺されるような鋭い痛みに似ており、非常に不快です。掻いてしまうと皮膚が破れ、淡黄色の液体がにじみ出ることもあります。この状態は非常に感染性が高いため注意が必要です。

中医学では、「湿熱体質」の人が寄生虫感染にかかりやすいとされます。湿熱とは、体の水分が停滞している状態と、内部の炎症や刺激を意味する熱の不均衡が組み合わさった体質のことです。湿熱は、脂っぽい肌、粘着性の便、強い体臭などを特徴とし、寄生虫の繁殖に適した環境を作ると考えられています。

明代の医師・陳実功は、「湿気と熱が結合すると、体全体に虫が生じる」と述べています。

かゆい肌のための自然療法

市販薬は一時的な緩和を提供しますが、多くの人々はより穏やかで効果的な自然療法を求めています。中医学や天然オイルは、刺激された肌を落ち着かせ、かゆみを和らげるために長年用いられてきた信頼できる選択肢です。以下は、臨床現場でも一般的に使用されているいくつかの療法です。

しその葉

ある臨床例では、シーフードを食べた後に広範囲の皮膚のかゆみと赤く腫れたじんましんの症状が現れ、かなりの不快感を引き起こしました。このようなケースにおいて、私はしその葉の使用を勧めました。

しその葉は中医学で広く使用されているハーブで、特に魚介類によるアレルギー反応の緩和に伝統的に用いられています。約30gの乾燥しその葉を1000mlの水で煮出し、10分以上煮ないように注意して煎じます。この煎じ薬は、温かいハーブティーのようにゆっくり飲むと効果的です。

この方法に従ったところ、患者のかゆみは従来の薬を使うことなく、わずか1日で解消しました。これは、しその葉がシーフード関連のアレルギー反応に有効であることを裏付ける例です。

しその葉は、一般的なアレルギー性のかゆみにも効果が期待できる、シンプルかつ自然で信頼性の高いハーブ療法です。

ココナッツオイル

臨床では、ココナッツオイルは私が最もよく推奨する自然療法のひとつです。

  • 非油性のかゆみ緩和に適応:食用としても知られるココナッツオイルは、かゆみのある肌に対しても優れた緩和効果を示します。他のオイルと異なり、素早く吸収され、べたつきが少ないため、局所使用に非常に適しています。
     
  • マッサージ用途にも有効:マッサージオイルとしても使用でき、かゆみの緩和とともに、筋肉の緊張や痛みも和らげます。
     
  • 乳幼児にも安全:乳児や幼児の皮膚トラブルには特に推奨されます。非天然の軟膏を誤って口にするリスクがある一方で、ココナッツオイルは飲み込んでも安全で、敏感肌にも優しい選択肢です。

研究によれば、ココナッツオイルの主成分であるラウリン酸には抗菌作用があることが示されており、アトピー性皮膚炎の予防や、黄色ブドウ球菌感染のリスク軽減にも効果が期待されています。
 

かゆみへの伝統的生薬処方

2023年に発表された系統的レビューでは、中医学が単独または西洋医学と併用された場合、乾癬、湿疹、蕁麻疹などの慢性皮膚疾患の管理において、西洋医学単独よりも有効であることが示されました。

以下は、臨床実践で用いられている伝統的な生薬処方の一例です。

療毒湯

療毒湯は、中国の古典医学書『瘍医大全』に初めて記載されており、「長く続く痛みとかゆみのある潰瘍すべてに効く」とされています。

この処方は、持続的なかゆみ、炎症、皮膚の肥厚など、頑固で慢性的な皮膚疾患に対処するために用いられます。

主な構成生薬は以下のとおりです:

  • 何首烏(カシュウ)
  • 荊芥(ケイガイ)
  • 独活(ウド)
  • 防風(ボウフウ)
  • 威霊仙(イレンセン)
  • 胡麻(ゴマ)
  • 石菖蒲(セキショウブ)
  • 苦参(クジン)

これらの生薬は、体内の熱(炎症)を取り除き、毒素を排出し、かゆみを和らげる効果があるとされています。非常に効果的ではありますが、使用する際は必ず資格のある中医学専門家に相談することをお勧めします。

:この記事で紹介された生薬の一部は日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、健康食品店やアジア系の市場などで入手可能です。治療の効果は個人差がありますので、実際の使用については医療専門家と相談してください。

(翻訳編集 日比野真吾)

伝統中国医学の医師であり、台湾の「心醫堂中醫診所(しんいどうちゅういしんじょ)」の院長である。2008年に中医学を学び始め、台湾の中国医科大学で学士号を取得。