世界中のあらゆる場所に細菌は存在しています。その多くは人間にとって無害であり、中には有益なものもあります。しかし、特定の状況下では重い病気を引き起こす細菌も存在します。
そのため、専門家は「細菌が繁殖しやすい10種類の日用品」を挙げ、それぞれに対して自分で防ぐ方法を紹介しています。
イギリス・ウエストミンスター大学医学部の微生物学講師であるムハンマド氏は、ウェブサイト「The Conversation」に掲載した論文の中で、日常生活の中に潜む細菌の温床と、簡単にできる自己防衛の方法について解説しています。
台所のスポンジ
台所にあるスポンジは、家庭内で最も不潔なもののひとつです。スポンジの多孔質な構造や湿気、そして日常的に食べ物と接触する環境は、細菌の繁殖に理想的な条件を提供しています。
アメリカ衛生基金協会の研究によると、使用後わずか2週間のスポンジには、糞便汚染と関係する大腸菌を含む数百万個もの細菌が繁殖していることが明らかになりました。
予防方法:毎週、電子レンジで加熱する・酢に漬ける・食洗機(自動食器洗浄機)でしっかり洗う、などの方法でスポンジを消毒しましょう。もしスポンジに異臭があれば、洗浄後であってもすぐに交換することが大切です。
まな板
まな板の切りキズは、細菌の繁殖に最適な場所になります。サルモネラ菌や大腸菌は、まな板の表面が乾いていても数時間は生存できるといわれています。清潔に保たれていないまな板を使い続けると、健康を損なうリスクがあります。
予防方法:生肉や野菜を調理する際は、別々のまな板を使いましょう。使用後は高温の石けん水で徹底的に洗浄し、水でよくすすいだあと陰干しをします。まな板に深い溝ができた場合は、すぐに交換することが望ましいです。

ショッピングカートの取っ手
多くの人が毎日利用するショッピングカートですが、実際に消毒されているものはごくわずかです。カートの取っ手は多くの人の手に触れるため、細菌の繁殖の温床となり、特に病原菌が広がる原因になることがあります。
研究によると、70%以上のショッピングカートが大腸菌に汚染されており、この細菌は通常、糞便汚染と関係していることが分かっています。さらに別の研究では、カートから肺炎桿菌、クレブシエラ菌、緑膿菌などの存在も確認されています。
予防方法:ショッピングカートを使用する前には、必ず手を消毒しましょう。特に、食品や携帯電話、顔に触れる前には、念入りな手の衛生を心がけることが重要です。
食器拭き
食器拭きは、台所用の布巾と兼用されることがよくあります。手を拭いたり、調理台を拭いたり、こぼれたものを片づけたりと頻繁に使いますが、洗浄が不十分なことも少なくありません。研究によると、大腸菌やサルモネラ菌は布巾の上で数時間生存できることが明らかになっています。
予防方法:できるだけペーパータオルを使用するか、食器拭き用と他の用途の布巾を分けて使いましょう。定期的にお湯や漂白剤、消毒液などでしっかり洗浄することが大切です。
携帯電話
人々は外出時はもちろん、バスルームに行くときでさえ携帯電話を持ち歩き、頻繁に触れています。そのため携帯電話は簡単に汚染されてしまいます。研究によると、携帯電話には黄色ブドウ球菌などの有害な細菌が付着していることが分かっています。
予防方法:浴室での携帯電話の使用は避け、こまめに手を洗いましょう。ぬるま湯に少量の石けんを溶かした水で軽く湿らせたマイクロファイバークロスを使って丁寧に拭き取り、刺激の強い化学薬品を直接スプレーするのは避けてください。

トイレ付近の歯ブラシ
トイレを流す際、目に見えないほど小さな飛沫が空中に広がり、それが近くに置かれた歯ブラシに付着する可能性があります。研究では、浴室内に置かれている歯ブラシから大腸菌や黄色ブドウ球菌、その他の微生物が検出されることが分かっています。
予防方法:歯ブラシはできるだけ便器から離れた場所に置きましょう。使用後はしっかり水で洗い流し、立てた状態でよく乾かします。3か月に1度は交換し、摩耗が激しい場合はすぐに新しいものに替えてください。
バスマット
入浴後、布製のバスマットは水分を吸収して湿った状態になりやすく、温かく湿気の多い環境は細菌やカビが繁殖しやすくなります。
予防方法:使用後は必ずバスマットを吊るして乾かし、毎週一度はお湯で洗いましょう。より衛生的にしたい場合は、木製やシリコン製のバスマットに替えることを検討してください。これらは乾きやすく、水分を残しにくいため、微生物の繁殖を抑える効果があります。
ホテルのテレビリモコン
研究によると、ホテルのテレビリモコンは一見清潔そうに見えても、多くの人が触れるため便座よりも汚れている場合があります。一般的に、大腸菌・腸球菌・黄色ブドウ球菌などの細菌が検出されています。
予防方法:ホテルの部屋に入ったら、まず抗菌ウェットティッシュでリモコンを拭き取りましょう。中には、リモコンをビニール袋に入れて使用する人もいます。このような共用物を触ったあとは、必ず手を洗うことを忘れないでください。

ペット用の毛布とおもちゃ
ペットの毛布やおもちゃには、唾液・毛・尿、そして屋外で付着した細菌が含まれていることがあります。アメリカ疾病予防管理センターの資料によると、ペットのおもちゃには大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが繁殖する可能性があると指摘されています。
予防方法:毎週、お湯とペットに安全な洗剤を使って毛布を洗いましょう。おもちゃは自然乾燥または乾燥機で乾かします。摩耗や破損が見られるおもちゃは、定期的に新しいものに取り替えてください。
マニキュア用品・化粧道具の共用
爪切りや角質ケア用のナイフ、その他の化粧道具が不潔な状態だと、黄色ブドウ球菌などの有害な細菌を広げてしまうおそれがあります。
予防方法:美容院に行く際は、自分専用の化粧道具を持参するか、お店で使用している道具の消毒方法を確認しましょう。信頼できる美容院であれば、きちんと説明してくれるはずです。
(翻訳編集 長谷川 透)
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