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トイレの中でスマホを使うと 痔のリスクが50%増加

トイレに行くたびに、ついスマートフォンを手に取っていませんか? SNSをチェックしたり、ニュースを読んだり、動画を見たりしているうちに、気づけば5分、10分が過ぎていた――そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。

しかし、この「何気ないトイレの時間」が、実はあなたの健康に深刻な影響を与えている可能性があります。学術誌『PLOS One』に発表された最新の研究によると、トイレで長時間スマホを使用することで、痔のリスクがなんと約50%も上昇することが明らかになりました。このデータは、消化器専門医が長年警鐘を鳴らしてきた事実を裏づけるものです。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学の消化器内科・肝臓内科臨床講師であるビアンカ・イスラム博士はエポックタイムズの取材に対し、「この研究は、トイレでスマホを使うといった日常の何気ない習慣でも、健康に影響を与える可能性があることを示しています」と語りました。
 

なぜトイレでのスマホ使用が「痔」を誘発するのか?

では、なぜトイレでスマホをいじると痔になりやすくなるのでしょうか? その理由は、人間の体の構造にあります。イスラム博士によると、通常の椅子に座る場合とは異なり、トイレでの姿勢では骨盤底の支えが弱まり、直腸の静脈にかかる圧力が増すのだといいます。

アメリカ胃腸病学会の広報担当であるシンシア・ツァイ博士も、エポックタイムズの取材で次のように説明しています。「直腸の静脈に長時間圧力がかかることで血流が増え、静脈が腫れたり充血したりするリスクが高まります。これが、いわゆる『痔』の原因となるのです」

大腸内視鏡検査を受けた125人の成人を対象にした調査では、次のような結果が得られました。

  • スマホを使用する人のうち、37%がトイレに5分以上滞在していたのに対し、スマホを使わない人ではわずか7%でした。
     
  • 全体の66%が「トイレでスマホを使用している」と回答。
     
  • さらに、スマホ使用者は非使用者に比べて痔のリスクが46%高い傾向を示しました。

「臨床の現場でも、トイレで過ごす時間が長い人ほど痔を発症しやすい傾向がはっきり見られます」とイスラム博士は述べています。「以前は長時間トイレにこもる理由は新聞を読むことでしたが、今ではスマホです。今回のデータは、これまでの臨床経験を裏づける結果といえるでしょう」

興味深いことに、この研究では、排便時の「いきみ」と痔の発症リスクとの間には明確な関連は見られなかったといいます。
 

スマホ依存の心理メカニズム:なぜやめられないのか?

トイレでスマホを使うと滞在時間が長くなる――これは単なる偶然ではありません。

マイアミの「クインテッセンス・サイキアトリー」に所属する精神科医ノナ・コッシャー博士は、本紙エポックタイムズの取材にこう語ります。「スマホ依存は偶然に起きるものではありません。綿密に設計された仕組みの結果なのです」

コッシャー博士によれば、SNSは特に集中力を奪いやすく、ユーザーに絶え間ない刺激や「小さな報酬」――たとえば「いいね」や新しい投稿、更新通知など――を与え続けることで、やめたくてもやめられなくなるといいます。

「このようなアプリは、終わりのないスクロール機能や予測不能なコンテンツによって人の好奇心を引きつけ、気づかぬうちに時間を奪うよう巧妙に設計されています」
 

5分がカギ! トイレではスマホに気を取られないこと

研究者たちは、最も手軽で効果的な対策として「スマホをトイレに持ち込まない」ことを勧めています。また、トイレでの滞在時間を数分以内に抑えることも大切だと指摘しています。

シニア研究者であり論文著者でもあるトリシャ・パスリチャ博士はこう述べています。「トイレで時間が長く感じるときは、本当に排便が難しいのか、それとも単に集中できていないのかを確認することが大切です」

さらにツァイ博士も「5分以内に排便できない場合は、一度トイレから立ち上がるようにしましょう」とアドバイスしています。
 

痔を予防するための完全ガイド

痔のリスクを減らすために、ツァイ博士は次のポイントを挙げています。

便を柔らかく保つこと:十分な食物繊維の摂取と水分補給、適度な運動を心がけて便秘を防ぎましょう。

無理にいきまないこと:排便時に強く力むのを避け、自然な流れに任せましょう。強くいきむと直腸に過度な圧力がかかります。

長時間の座りっぱなし・立ちっぱなしを避けること:定期的に体を動かし、特に硬い椅子や床に長時間座るのは避けましょう。これも直腸や腹部への圧力を高める原因になります。

ツァイ博士は最後にこう述べています。「私が患者さんにいつもお伝えしているのは、トイレで過ごす時間をできるだけ短くすること、そして全体として『健康的な排便習慣』を意識することです」

(翻訳編集 華山律)

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。