米ピーボディ賞候補の長編アニメドキュメンタリー『長春 - Eternal Spring』(@loftyskydocs)

命を賭して真実を流した夜 映画「長春」が暴く中国弾圧の現実

12月8日から14日にかけて、アニメーション・ドキュメンタリー映画『長春 ― Eternal Spring』の特別上映会が、東京都、埼玉県、広島、福岡県など複数の地域で開催された。

本作の舞台は、2000年代の中国東北部・吉林省長春市である。法輪功への弾圧が続く中、政府系メディアによる誹謗中傷に対し、学習者たちは「法輪功の真実を伝えたい」と命の危険を承知で行動を起こした。

2002年3月、彼らは「電波ジャック」を決行した。「電波ジャック」とはテレビ放送に介入し、事実を伝える映像を放映することだ。政府の宣伝とは大きく異なる内容に、多くの市民が衝撃を受け、法輪功に対する認識を改めた人も少なくなかったという。一方で、TVジャックに関与した学習者の一部が後に過酷な迫害を受けた。

放送から1時間も経たないうちに、大規模な一斉検挙が行われた。その後20日間で約5千人が拘束され、事件に関与したとされる18人が拷問を受け、死亡したという。原画を手がけたコミック・アーティストの大雄さんも当時、長春を離れて各地を転々とする逃亡生活を余儀なくされた。

「電波ジャック」について映画の冒頭とラストで、当時、大雄さんはテレビ放送をジャックして真実を伝えることについて「自分には理解できなかった」と繰り返し語っている。しかし、事件に関わった人々へのインタビューを重ねていく中で、その心境は次第に変化していく。理解できないという戸惑いは、やがて彼らの行動への敬意へと変わり、その英雄的な行為は、歴史上の英雄にも決して劣らないものだと感じるようになったと話した。

さいたま市の上映会で映画を鑑賞した富士見市議、伊勢田幸氏は「こうした映画を多くの人に見てもらう機会をつくり、中国の人権問題をさらに掘り下げていきたい」と語った。

伊勢田氏は「安全保障は重要だが、同時に基本的人権は国境を超えた普遍的な価値だ」と強調し「改めて人権の問題という観点で、しっかりこの問題にクローズアップできるように、地方議員の立場ではあるが、しっかりと頑張っていきたい」と述べた。

さいたま市議の相川綾香氏は「本当に世界的な問題だ」と述べた。さらに、支援の輪が広がっている現状に触れ、「一人の人間に対してあのようなことができる人間がいるということは、本当に信じられない。この問題を多くの人の心に留め、伝え続けるとともに、二度と同様の事態が起きない社会をどう実現するかを考えながら、今後も提言していく」と語った。

評論家の三浦小太郎氏は上映後の座談会で、電波ジャックという手段について「一般的には反社会的と受け止められかねない」としつつも「そうした行動に追い込まれる状況にあった」との認識を示した。

その上で、自身としては「反社会的だという意識はそれほどなかった」と述べ「そもそも中国(中共)政府が行っていること自体が反社会的であり、それに対抗するには、あの程度の行動を取らざるを得なかったのではないか」と語った。

「本質的な問題は中国共産党政府にある」という見方を示した。

また、当初はその手段が戦術的に有効だったのか疑問もあったとしつつ「結果として、中国では政府の主張しか伝えられないテレビニュースの中で、異なる情報が放送されたこと自体に大きな意味があった」と評価した。

また、中国国内では法輪功に限らず、伝統や精神性を守ろうとする人々が迫害を受けている現実があるとして「その存在を忘れてはならない」と強調した。

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