北京の天安門広場前(GREG BAKER/AFP via Getty Images)

張又俠の核機密漏えい疑惑 中共国防部が間接否定

張又俠の失脚を巡り、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはアメリカへの核兵器関連機密の漏えい疑惑を報じた。これについて、中国共産党(中共)国防部は1月29日、定例記者会見で記者の質問に対し、正面からの回答を避け、「憶測を控えるように」と述べた。

29日に行われた国防部の定例記者会見で、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた張又俠の機密漏えい疑惑について事実かどうかを問われた蔣斌(ちょう・ひん)報道官は、公式発表の情報を基準にすべきとし、「憶測を控えるように」と述べた。この発言は、張の失脚がアメリカへの核兵器関連機密の漏えいによるものだとする見方を、間接的に否定したとみられる。

時事評論家の唐靖遠氏は、「習近平の本来の狙いは、張又俠を徹底的に失脚させ、拘束に正当性を与えることにあった。しかし、英語圏でも中国語圏でも、学者から一般市民に至るまで、この種の暴露を信用しない、受け入れない見方が大勢を占めている。こうした状況の中で、国防部としても、張又俠が核機密を売り渡したという説明を、これ以上公式に裏付けることができなくなったのだろう」と述べた。

分析では、張又俠失脚の根本的な原因は、中共内部の権力闘争にあり、張の拘束はその対立を激化させ、結果として体制崩壊を早める可能性があると考えられている。

時事評論家の横河氏は、「仮に党の長老らが表に出てきて、張又俠が情勢を見極め、その側に加わることは、彼自身の利益にもかなっていたはずだ。長老派の動機は、習近平が改革開放によって築かれた成果をすべて台無しにしてしまうのを阻止することにある」と指摘した。

張又俠と劉振立の失脚後、7人で構成されていた中共中央軍事委のメンバーは、現在2人のみとなっている。これを受け、海外メディアから次回の中央軍事委会議の開催時期や出席者について質問が出たが、蔣斌報道官は「これは軍事機密」だとし、公表できる情報はないと答えた。

唐靖遠氏は「国防部は、張又俠が調査を受けていると正式に発表した最初の、そして現時点で唯一の機関だ。他の党・政府機関や、各戦区を含む組織は、この件について一切態度を示していない」と述べ、これは、「張の拘束が中共高層部で強い反発や大きな論争を引き起こしている可能性を示している」と語った。

約80分間に及んだ今回の国防部記者会見では、中外の報道機関から30件以上の質問が出され、そのうちおよそ10問が張又俠に関連する内容だった。しかし、公式に公表された記者会見の文字記録には、張又俠に関する質疑応答はすべて掲載がない。

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