2026年4月7日、台湾最大野党・国民党の鄭麗文主席による中国訪問に抗議する人々が、台北・松山空港に集まった(CHENG Yu-chen / AFP)

国民党主席と習近平の会談に波紋 米台分断狙う中共に警戒

4月10日、台湾国民党の鄭麗文主席は、北京の人民大会堂で習近平と会談した。公開された冒頭発言では、中国共産党(中共)の統一戦線工作で多用される表現が相次ぎ、その後の会談は非公開で行われたため、何が話し合われたのかを巡って疑問の声が広がっている。専門家は、北京が対話ムードを演出することで、米台関係の弱体化や台湾内部の分断を図ろうとしているとみている。 

報道によると、会談は北京人民大会堂で行われ、冒頭の公開発言は約10分間だった。習近平は「両岸の同胞はみな中国人だ」などと述べた。一方、鄭氏は交流を通じて平和を促進する考えを示し、いわゆる「平和の枠組み」にも言及した。 

公開発言では、「中華民族の偉大なる復興」や「人類運命共同体」など、中共の政治スローガンとして知られる表現が目立った。識者らは、こうした言い回しは長年、対外宣伝や統一戦線工作に使われてきたと指摘している。

さらに、公開発言の途中で報道陣に退席を求め、その後は非公開の会談に切り替えられた。しかし、実際にどのようなやり取りがあったか明らかにしておらず、疑念を招いている。

台湾国防安全研究院の沈明室研究員は、「たとえば台湾内部の政治情勢や今後の選挙、さらにアメリカの対台湾武器売却や国防予算を巡って、議会でどう多数を確保するかといった問題も、非公開会談で話し合われた可能性がある」との見方を示した。

専門家は、北京が台湾海峡情勢を巡る緊張が高まる中、台湾の野党政治家と接触することで、「なお対話は可能だ」との印象を内外に与えようとしていると警告する。その狙いは、国際社会の関心をそらしつつ、台湾への圧力を弱めて見せることにあるという。 

一方で、鄭氏の訪中期間中も、中共は台湾に対する軍事的圧力を続けていた。専門家は、こうした動きは中共の対台湾戦略が個別の訪問によって変わっていないことを示しており、「交流」と「威嚇」を並行して進める二重の手法が改めて浮き彫りになったと指摘している。 

沈明室氏は、「統一戦線工作の宣伝は、武力統一のむき出しの姿をいったん隠し、代わりに『平和統一』という穏やかな顔を前面に出すものだ。しかし実際には、『92年コンセンサス』や台湾独立反対を掲げ、統一が将来の方向だと示しながら、水面下では軍事力も誇示し続けている」と述べた。

これに対し、台湾政府は改めて強い警戒感を示した。頼清徳総統は、「私たちは平和を理想としているが、それは現実を見ない幻想ではない。歴史が示している通り、権威主義に妥協しても、自由も平和も得られない」と強調した。 

また、今回の会談は、トランプ氏と習近平の動きや米中対立を背景に、中共が対外的に発した政治メッセージの一つだとの見方も出ている。中共は台湾海峡問題を巡る主導権を握り、自らの枠組みで国際社会に印象づけようとしていると分析されている。 

軍事評論家の馬克氏は、「現在の米中間の最大の争点は台湾問題だ。トランプ大統領は、台湾がより多くの武器を購入し、国防費を増額して自衛能力を高めることを望んでいるが、中共はあらゆる手段でそれを阻止しようとしている。実際に、これは中共の仕掛けた計略でもある。頼清徳政権を揺さぶると同時に、台米関係を離間させる狙いもある」と指摘した。

専門家は、台湾社会が中共に幻想を抱くべきではないと警告している。政治的な動きや発せられるメッセージを慎重に見極め、国家の安全と自主性を守る必要があるとしている。

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