お会計は「良心」で 非営利レストランの試み

【大紀元日本7月7日】米国内に1400店舗を持つベーカリー・カフェ「パネラ・ブレッド(Panera Bread)」は5月末、ミズーリ州クレイトン(Clayton)市で初めての「非営利レストラン」を開店。そのレストランでは、食べたものの請求金額に対して、利用者が価値を判断して金額を決めて支払うというユニークな支払い方法をとっている。

同社によると店をオープンしてから1カ月間で、利用者の約15%が請求金額より多めに支払い、約60~70%がレジで提示された料金の全額を支払った。また、全く支払わない人は全体の約15%ほどだった。

企業活動と慈善事業の両立を目指す同プロジェクトは「経済力のある客が多めに支払った分、所得の低い客の負担を軽減させることになる」と、同社のロナルド・サイチ(Ronald Shaich)社長は話す。人々の良心と道徳に基づく経営が成り立つのかと多少の不安を感じていたが、「基本的に人々は良心的」だったことが判明し、開店から1カ月目の経営が順調であると、サイチ社長は安堵している。数カ月以内に支出と収入のバランスが取れると考えた社長は、利益の余剰分を慈善団体に寄付することを決めた。

同社のスポークスマン、ケイト・アントナッチ(Kate Antonacci)さんは、政府関係機関や裁判所の近くに第一号レストランを開いた。常連客は経済力のある人が多い。高所得者と低所得者が入り混じるクレイトン市で、このレストランは、生活困窮者を助ける無料配給施設「スープ・キッチン(soup kitchen)」と見なされておらず、住民のモラルも一定レベルにあることに喜びを示した。同社は近いうちにさらに2店舗の非営利レストランをオープンする予定だ。

利用者やニュースで知った人々は、この試みは大変有意義であるとし、成功を望んでいるが、利己的に得をしようと考える人もいる。彼らに対してレストランの中に、「プライドと誇りを持とう」というキャッチコピーが掲げられており、入口では顧客に対して絶えず「非営利レストラン」の説明を行っている。

職を失い障害者手当で1家4人の生活を支えているベニー・ウォドさんは、ニュースでこのレストランを知り、家族で恩恵にあずかった。

(翻訳編集・豊山)