【大紀元日本4月9日】
本文は、私が知り合った先天道を修めた平先生(500歳)の経歴を記録したもので、文章はすべて記憶によるものである。何人かの人の記憶を統合したもの、または私と平先生の間であった途切れ途切れのいくつかの対話を元に書いたものであるため、文の繋がりがよくないと感じるところもあると思われる。私はそれらを一つに統合し、論理的な文脈を整えるため、想像を使った文字を加える場合があったが、事実を離れた記述はない。平先生との経験から、私は世の中の多くの出来事は人が思っているものとはまったく違うということが分かった。本文を読んだ後、多くの人は考え方が変わると思う。
十三、亀脈
皆が帰った後、平先生は怪物の入っている陶壇子を取り出し、地上に置いた。私が何をするのかと聞くと、「蜮」は極めて汚いものなので、世の中で最も清浄な水である「亀脈の水」で洗わなければならず、このまま洞庭湖に入れると湖水を汚染してしまうのだと言った。また、命令に従わせるためには、それに惑心を服用させなければならないのだと言った。「亀脈の水」でそれのお腹の汚物を吐き出させ、惑心の水に三日三晩ひたして完成するというのだ。
私は、「亀脈の水」とは聞いたことがないが、一体何なのかと聞いた。平先生によると、「亀脈」は地下十数メートル以下の深いところにある水脈のことで、独特な系統によって自ら循環し、浄化され、外部から汚染されないため清浄で比類がなく、世の中で最も清浄であるという。「亀脈」の入口には、普段、一匹または数多くの年取った亀が守っているが、中には数百歳のものもあれば、数千歳のものもあるという。そのため、「亀脈」と呼ばれるようになったというのだ。
私は驚いて、これらの亀は本当に地下十数メートルのところに生きているのかと聞いた。平先生はうなずいて、畑の中にあるが周囲の地上は水の流れもなく出口もなく、地下に完全に埋められているのだと言った。この世界は本当に大変奇妙で知らないことばかりだ。かつて読んだことのある本には、ある地方で畑の地下から生きている亀を掘り出したが、家の土台を作る時に掘り出したのもあったと書いていた。私はずっと半信半疑で、それの真偽を知らなかったが、平先生がいうことはそれよりも更に不思議である。
続いて平先生は、地下に亀があることはそれほど珍しいことではなく、地下には怪物などもあるが、人間は知ることも見ることもできないのだと言った。平先生は黄色の粘土を塗って封をしている一つの壺を取り出した。上には奇怪な文字が書かれていた。壺の封を開けながら、本当に全ては天が按配したことで、全てのことは時機が熟せば自然に成就すると言った。
彼の話によると、「亀脈の水」は世の中でも極めて珍しい、めったにない物で、見つけることは容易ではないという。十数年前、彼がある地方を通った時、日照りで飲む水が少なく、村民たちが井戸を掘っているのを目にした。しかし、当地は地表の水脈が途切れていて、十数メートルまで深く掘らないと水は出なかった。村民が十数メートル掘ったところ、意外にも洗面器ほどの大きな亀を掘り出し、このことはすぐに村に広まった。平先生はちょうどそこを通ったので、水脈が汚染されないうちに、壺にいっぱい水を取って残したという。
平先生は話しながら壺を開け、怪物を入れた壇子に水を注ぎ込んだ後、封をして怪物を水の中に浸した。約30分浸すと壇子を開け、中の汚水を別の壺に出した。入れる時は、水は完全に透明だったのに、出す時は真っ黒で悪臭を発していた。平先生は、この汚水はこのまま捨てると地下水を汚染してしまうので、昆侖山に持って帰って消滅させなければいけないと言った。
このように、私たちは午後ずっと怪物を水に浸す作業をした。「亀脈の水」を入れた壺と汚水を入れた壺は、両方ともほぼ同じ大きさであったが、不思議なのは、「亀脈の水」の水は出しても出しても切れることがなく、十数個の壺の水を満たしたが、まだ尽きなく、汚水を入れた壺も同じで、いくら入れても満ちることなかった。
約十数個の壺の水で浸すと、水は澄んだ。平先生はもう大丈夫だと言い、手元から一つの赤い袋を探し出した。そして袋の中から何か黒いものを取り出したが、手で握ると水となった。私はこれがいわゆる「惑心」であると思った。彼は「蜮」を入れている壇子に「惑心」の水を入れ、「蜮」を浸し、蓋を封じた後、目を閉じて側に座った。この時、周囲はもう暗くなり、神医と2人の村民が私たちを探しに山に上がってきた。私たちがずっと帰ってこないのを見て、探しに来たのだ。
平先生は壺を片づけて彼らと村に戻った。村民は酒席を数卓ほど並べ、私たちを接待しようとした。平先生は断ったが、彼らに強制的に食卓に座らされた。
食事が終わり、夜となったが村民たちはまだ帰ろうとせず、私たちを囲んで話し合いを始めた。私と平先生は何も言わず、神医だけが彼らと談笑していた。平先生は突然、そろそろ出発すると神医に伝えるよう私に言った。洞庭まで行くには三日間かかるので、今出発すると、ちょうど全てが間に合うのだと言った。
私はうなずいて、そっと神医に耳打ちし、彼の話を伝えた。 神医はうなずいて村民に別れを告げた。村民は強く引き止めたが、結局、私たちの申し出を受け入れてくれた。彼らは明かりを照らしながら、私たちを村の数キロ先まで送ってくれた。
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