中国茶の名器 紫砂壺

【大紀元日本9月5日】茶器はお茶を楽しむための重要な道具です。中国茶を楽しむ茶器としては、何と言っても宜興(ぎこう)の紫砂壺(しさへい)が一番有名です。

 紫砂壺は、江蘇省南部宜興の名産で、紫砂泥を原料として作られ、紫赤色で手触りが柔らかい古風な造形の茶器の名品です。紫砂壺の歴史は、唐代晩期に遡りますが、盛んになったのは、明の嘉靖年代からだそうです。

 当時、龔春(きょうしゅん)という紫砂壺作りの名人が現れ、紫砂壺の名声が一気に広がりました。龔春の本名は供春であり、若い時、提学副_li_(科挙を担当する官_li_)である呉頤山の童僕として宜興湖汶山の金沙寺に滞在している間に、金沙和尚に師事し陶器の作り方を習いました。

 やがて、彼は紫砂壺作りの名手になり、作品は「供春壺」と呼ばれる紫砂壺の珍品で「供春壺は黄金や宝石よりも貴重」と言われました。

 清代以後、紫砂壺の製作に書道、絵画、篆刻などの芸術要素が取り入れられ、紫砂壺は茶器として珍重される以外に、芸術作品にもなりました。

 紫砂壺が茶器として珍重されたのには、以下の理由があります。

 1、お茶本来の味を失わず、色も香りも最高の状態に保つことができる。

 2、使えば使うほど、表面の艶が増し、より美しくなる。

 3、耐熱性に優れ、直火でも電子レンジでも使うことができる。

 4、優れた断熱性と保温性があり、熱い表面に触れても火傷をしない。

 5、壺の壁面はお茶の香りを吸収し、長期にわたり使用されていれば、時には茶葉を入れずにお湯を注ぐだけで、お茶の香りが出てくる。

 6、同じ色のお茶を入れ続けると、壺の壁面もお茶の色に変わる。

 7、宜興の紫砂は可塑性が良く、焼き上がりが変形しにくいので、思うままに茶器の形を作ることができる。

 8、通気性が良く、お茶を入れたまま長く置いても腐りにくい。

 

(翻訳編集・東山)