【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

お茶好きなら知っておきたい「6つの中国茶」

お茶の種類はたくさんありますが、一般的には「六大茶類」と呼ばれる6つのタイプに分けられます。つまり、緑茶・黄茶・白茶・青茶・紅茶・黒茶の6種類です。

これらの分類は、茶葉を作るときの工程と発酵の進み具合によって決まります。お茶作りには、「日光でしおらせる」「室内でしおらせる」「もみ込む」「加熱して発酵を止める(殺青)」「乾燥させる」などの工程があります。この中の「発酵」というのは、室内でしおらせたあとに茶葉を少し休ませて、空気に触れさせながらゆっくり酸化させることをいいます。

発酵が進むとお茶の香りや味が変わっていき、作り手がちょうどいいと思ったところで加熱して発酵を止めます。これを「殺青(さっせい)」といいます。蒸気で蒸したり、大きな鉄鍋で炒めたりして発酵を止めるのが一般的です。こうして、発酵の度合いや製法の違いによって、お茶は6つの種類に分けられます。

1. 緑茶

緑茶は、人類の歴史の中で最も早く作られたお茶の一つで、三千年以上の歴史があるといわれています。今では世界中で飲まれていますが、紅茶に次いで消費量が多いお茶です。作り方は「茶葉を摘む → 殺青(加熱) → 揉む → 乾かす」という流れで、発酵させずに作られるため、「不発酵茶」と呼ばれます。
加熱の方法によって種類が分かれ、炒って作るものには「龍井茶」や「碧螺春」、蒸して作るものには日本の「玉露」や「抹茶」などがあります。

2. 黄茶

黄茶は、明の時代の終わりから清の時代の初めにかけて生まれたお茶です。作り方は「茶葉を摘む → 殺青 → 蒸らして黄変させる → 揉む → 乾かす」という流れです。炒った茶葉を紙で包んでしばらく蒸らすことで、茶葉が少し黄色くなります。そのため、緑茶のようなさわやかな香りに加えて、やわらかくまろやかな甘みが楽しめます。

黄茶は「黄芽茶」「黄小茶」「黄大茶」の3つに分かれます。代表的な黄芽茶には「君山銀針」、黄小茶には「北港毛尖」があります。ガラスのコップで淹れることが多く、お湯を注ぐと最初は茶葉が浮かび、少しするとまっすぐ立って沈む姿がとてもきれいです。

3. 白茶

白茶は、中国・福建省の福鼎という地域が発祥といわれています。作り方は「茶葉を摘む → 長時間しおらせる(36時間以上) → 乾かす」というシンプルなもので、もみ込んだり加熱したりせず、わずかに発酵させて仕上げます。

昔から「一年でお茶、三年で薬、五年で若返り、七年で宝、十年で幻」といわれるほど、白茶は薬効の高いお茶として知られてきました。昔はお坊さんが作って保管しておき、村の人が風邪や発熱、頭痛、歯痛などのときに「老白茶」をもらって飲んでいたそうです。熱い老白茶を飲んで汗をかくと、体が楽になったと伝えられています。

白茶は年数が経つほど薬効が高まるといわれ、最近では体調管理のために老白茶を飲む人も増えています。そんなことから、「老けるのは年のせいじゃなくて、白茶を飲まないからだよ」という言葉もあるほどです。

白茶の種類には、芽だけで作る「白毫銀針」、葉も使う「白牡丹」「貢眉」「寿眉」などがあります。

4. 青茶

青茶は、6種類の茶の中で最も新しく生まれたお茶で、中国・福建省が発祥といわれています。作り方は「茶葉を摘む → 日光でしおらせる → 室内でしおらせる → 攪拌 → 殺青(加熱して発酵を止める) → 揉む → 乾かす」という工程で作られます。発酵度はちょうど中間くらいなので、「半発酵茶」に分類されます。青茶には、地域ごとにいくつかの代表的な種類があります。福建北部の「武夷岩茶」、福建南部の「安渓鉄観音」、広東省の「鳳凰水仙」、台湾の「文山包種茶」「高山茶」「烏龍茶」「凍頂烏龍茶」「台湾鉄観音」「東方美人」などが有名です。

青茶は基本的に一年を通して収穫できますが、「東方美人茶」だけは特別です。このお茶に使う茶葉は、初夏の端午節(旧暦5月頃)前後の約10日間にだけ摘まれます。この時期、茶の若芽は「小緑葉蟬」という小さな虫に噛まれて育つのですが、この虫の唾液が葉につくことで、出来上がったお茶に独特の蜂蜜のような香りが生まれます。

伝説によると、100年以上前にイギリスの商人がこのお茶をヴィクトリア女王に献上した際、女王はその美しい見た目と華やかな香りに感動し、「まるで東洋の美女がカップの中で舞っているようだ」と称えて、「東方美人」と名付けたといわれています。

また、台湾の高山茶の中には「冬片」と呼ばれる珍しいお茶もあります。これは冬の寒さが続く中で、ある年に突然暖かくなり、茶の木が「春が来た」と勘違いして芽を出したときにできる、冬限定の新芽茶です。収穫量がとても少ないため、たいへん貴重です。

冬片は、まろやかでコクがあり、後味がすっきりしています。生育がゆっくりな分、アミノ酸や糖分が多く含まれ、苦みが少なく甘みが強いのが特徴です。葉は厚く、花のような香りや冷たい霜、鉱石のような香りを感じることもあり、台湾を代表する特別なお茶とされています。

5. 紅茶

紅茶の誕生には、ちょっとした「偶然のきっかけ」があります。明の時代の終わりから清の時代の初めごろ、福建省の桐木関という村でのこと。村人たちがいつものようにお茶を作っていたとき、江西省から軍隊がやってきました。村人たちは恐れて山へ避難し、軍が去った後に戻ってみると、殺青をしていなかった茶葉がすっかり黒くなっていたのです。村人たちは「もったいない」と思い、急いでその黒くなった茶葉を炒って乾かし、茶商に売ってみました。すると、西洋人にこれが大好評! 茶商は翌年も同じ作り方で作るよう依頼し、高い値段で買い取ったのです。これが紅茶のはじまりといわれています。

紅茶の作り方は、「茶葉を摘む → 室内でしおらせる → 揉む → ほぐす → 発酵を仕上げる → 乾かす」という流れで、完全発酵茶に分類されます。世界三大紅茶は、インドのダージリン紅茶、スリランカのセイロン紅茶、中国の祁門紅茶です。台湾でもいくつかの紅茶が作られており、代表的なものには:フルーティーで華やかな香りの「紅玉紅茶(こうぎょくこうちゃ/台茶18号)」、小さな虫・小緑葉蟬にかまれた葉で作る「蜜香紅茶」、濃厚な味わいの「阿薩姆紅茶(アッサム紅茶/台茶8号)」、山の野生茶から作られる「六龜野生紅茶」などがあります。

特に「六龜野生紅茶」は、国有林に自生する台湾原種の山茶から作られるお茶です。以前は自由に採ることが禁止されていましたが、現在は環境に配慮した採取ルールを設け、自然を守りながら収穫されています。

6. 黒茶

黒茶という名前は、その茶葉の見た目が黒や黒褐色をしていることから付けられました。黒茶は「後発酵茶」に分類され、普通のお茶と違って、作ったあとにもう一度発酵させるのが特徴です。この後発酵の工程には「渥堆(あくたい)」と呼ばれる作業があります。湿気と熱を加えた状態で茶葉を積み重ねて発酵させ、温度は70℃ほどにもなります。熱くなりすぎないように、途中で何度もかき混ぜながら進めるため、この工程だけで1週間ほどかかります。

作り方は「比較的大きくて硬めの茶葉を使い → 殺青 → 揉む → 渥堆 → 乾かす」という流れで、微生物の働きによって独特の味と香りが生まれます。代表的な黒茶には、雲南省の「普洱熟茶」、湖南省の「茯磚茶」などの湖南黒茶、湖北省の「青磚茶」、広西省の「六堡茶」があります。

よく「普洱茶=黒茶」と思われがちですが、正確には少し違います。普洱茶は雲南省の茶葉だけを使ったお茶のことを指し、「普洱生茶」「普洱熟茶」「普洱老茶」の3種類があります。「普洱生茶」は発酵させないため、緑茶の仲間です。「普洱熟茶」は「渥堆」工程を行うため黒茶に分類されます。「普洱老茶」は、生茶を長期間熟成させたもので、自然な時間の経過によって深い香りとまろやかさが生まれます。熟成には数年から数十年かかることもあります。

これで、お茶の6つの分類と特徴がだいぶお分かりになったと思います。それぞれのお茶の特徴を知れば、お茶の入れ方や楽しみ方も変わってきます。ぜひ、ご自分に合った淹れ方を見つけて、おいしい一杯を楽しんでみてください。
 
 (翻訳編集 華山律)

欧陽峯