逆境をバネに

信念で木を植えた105歳のおばあさん=インド

乾燥した南インドの土地に木を300本植えたおばあさんがいる。彼女の名前はサルマラダ・ティンマッカさん(Saalumarada Thimmakka)。105歳になるティンマッカさんは学校に通ったことがなく、また子供を授かることもできなかった。インドの農村に暮らす女性にとって、不妊は不名誉なことであり、家族や社会から追放される可能性もある。しかし、彼女は子供の代わりに木を育て、今ではエコ活動のヒロインとしてインドで広く知られている。CNNが伝えた。

南インドKarnataka州にある彼女の村から隣村にのびる道の両側には、彼女が植えた300本の木が並ぶ。ほこりっぽくて乾燥し、雨量も少ない土地に木を植えるのは容易ではない。毎日の畑仕事を終えた後、彼女は穴を掘って苗木を植え、数キロ離れた井戸から運んできた水をやった。すでに亡くなった夫が彼女の水運びを手伝い、野生動物に食べられないよう、苗木の周りに棘のある低木を植えた。雨がなかなか降らない時、彼女は木々に水をやりながら雨の神インドラに祈ったという。

地道な努力が実り、彼女の植えたベンガルボダイジュの木は立派に成長した。今では薪や家具の原料として重宝されるようになり、地元の州首相が彼女のプロジェクトを支援し、彼女の名前の財団も立ち上がった。

「子供を授からなかったのは、私の運命」とCNNのインタビューに答えたティンマッカさん。「そのおかげで、私たちは木を育て、恵みを得ました。木は私たちの子供です」

環境保護の専門家として有名になったティンマッカさんには、もう一つ嬉しい出来事があった。幼い頃から自然に興味があった14歳の男の子、スリ・ウメシュさん(Sri Umesh)がティンマッカさんを手伝うようになり、最終的には彼女の養子におさまった。今ではウメシュさんが財団のプレジデントに就任し、農夫たちに木を配達する種苗場を経営している。

「生きていくためには、自然を保護しなければなりません」と話すウメシュさん。彼とティンマッカさんは、次世代のために木を植えるよう呼びかけている。

(文・郭丹丹)