2012年12月4日、フランスのパリで、タブレットに表示された「YouTube」のロゴ (Lionel Bonaventure/AFP/Getty Images)

YouTube、中国政府に批判的なフレーズの削除認める トランプ氏がSNS閉鎖に言及

YouTubeは、コメント欄から中国共産党に批判的な中国語のフレーズを削除していたことを認めた。

YouTubeの広報担当者はThe Vergeに対し、5月26日の記事の中で、「これは私たちのエンフォースメントシステムのエラーのようで、現在調査中です」と述べた。

大紀元がYouTubeを傘下に置くGoogleにこの問題について1週間前に質問したところ、同社は多くの証拠を提示されたにもかかわらず、コメント削除が行われていることを認めなかった。

このコメント削除の問題は、ブロガーであり中国ニュースと解説を中心としたYouTubeコンテンツの制作者であるJennifer Zeng氏によって5月13日に指摘された。

彼女はコメントが削除される様子を紹介するビデオを投稿した。他の人たちが試したところ、同じ結果が得られ、この問題は台湾のニュースでも取り上げられた

米オンラインメディアThe Vergeによると、一部のユーザーは2019年10月にもYouTubeの公式ヘルプページでクレームを入れていたという。

禁止されていると思われるフレーズの一つに「共匪」がある。これは「共産主義の盗賊」という意味で、言葉の由来は中国の内戦時代にまで遡るようだ。

削除されるもう一つのフレーズは「五毛」で、中国共産党がプロパガンダをオンラインで広めるために使用する、ネット荒らし屋のことをいう。荒らし屋は一投稿あたり五毛(約8円)の料金が支払われていたという噂だ。

大紀元は両方のフレーズを異なるYouTubeアカウントや動画で繰り返しテストし、毎回同じ結果が得られた。コメントは約20秒で削除された。

ジム・バンクス下院議員 (共和党、インディアナ州選出)) は、5月26日付けの書簡で、このコメント削除についてGoogleに質問し、「中国共産党のインターネットプロパガンダ部門(「五毛」のこと)への批判を検閲するGoogleの方針を説明するよう」求めている。

バンクス議員は、同社が「オピオイドの販売、テロ組織の連携、そして違法コンテンツを取り締まることはとてもできない」として、「残忍で独裁的な政権への批判をブロックする」ための人員は十分に確保していると指摘した。

大紀元の報道によると、Googleは以前にも中国共産党に協力したプロジェクトを行っており、繰り返し非難されている。

保守派のコンテンツも検閲か

一方、これらの大手ソーシャルメディア保守派の声を抑圧しているというクレームも出ている。

マイク・ペンス副大統領は、トランプ政権はソーシャルメディアや大手IT企業による保守派への検閲に強く反対していると述べた。

ペンス氏は5月25日に掲載された米オンラインニュースー・ブライトバートとの独占インタビューで、「11月の大統領選挙を前に保守派の声を抑え込もうとするなら、ホワイトハウスは対策を実施するだろう」と語った。

「大統領はインターネットやソーシャルメディアにおける保守派に対する検閲を容認しないと明言しました」とペンス氏は話した。「私たちはそれを許しません」

ペンス氏は、トランプ政権の対策がどのような形になるか、詳細を明らかにしなかったが、ウォール・ストリート・ジャーナルは5月23日、匿名で「事情に詳しい関係者」の話を引用し、ホワイトハウスが反保守的な言論を審査する委員会の設立を検討していると報じた

トランプ大統領は、大手IT企業やソーシャルメディア企業が保守派を抑圧しているとの問題について、繰り返し懸念を表明してきた。5月16日のツイートで、大統領はいくつかの人気プラットフォームが「急進左派」に仕えていると非難し、ホワイトハウス主導の対抗策を示唆した。

「急進左派は、Facebook、Instagram、Twitter、Googleを完全に掌握し、コントロールしている」とトランプ大統領はツイートで述べ、トランプ政権は「この違法な状況を改善しようと取り組んでいる」と付け加えた。

 

2019年7月11日、ワシントンのホワイトハウスのイーストルームで行われたソーシャルメディアサミットで演説するドナルド・トランプ大統領  (Reuters/Carlos Barria)

ソーシャルメディアや大手IT企業は、政治的動機に基づく差別疑惑を繰り返し否定している。

保守派は長い間、IT企業やソーシャルメディアプラットフォームが、政治的動機に基づくコンテンツの管理、選択的な事実チェック、検索ランキングの歪曲、ニュースフィードの操作などを通じて、右寄りの意見を抑圧していると主張してきた。

中共ウイルス(新型コロナウイルス)の世界的大流行に直面して、ソーシャルメディア企業はコンテンツの管理を強化しており、保守派の懸念は強まっている。3月にGoogleとAlphabetの最高経営責任者(CEO)であるSundar Pichai氏は、Google傘下のYouTubeが、コンテンツ管理ツールとスタッフによって「誤解を招く恐れがある」 と判断された中共ウイルスに関する動画を何千本も削除したと発表した。

しかし、保守派の多くは、何が 「誤解を招く」 かを判断する基準は十分に透明性がなく、政治的動機に基づいて傾きやすいと考えている。

YouTubeの最高経営責任者であるSusan Wojcicki氏は4月22日、「WHO(世界保健機関)の勧告に反する動画は全て、われわれの方針に違反することになる」という方針を発表し、「問題のある情報を削除する」と話した。

Adelphi大学のサイバー法とデジタル倫理学のMark Grabowski准教授は大紀元に対し、オンラインでの言論、特に中共ウイルス関連の話題に関してはダブルスタンダードがあると語った

「場合によっては、 (ウイルス) のコンテンツは、医師、教授、疫学者などの権威ある情報源によって作成されています」と彼は言う。「一方でこれらのプラットフォームは、その話題について話す資格が全くない人々による非常に推測的な意見を促進しています」

トランプ氏、SNS大手の閉鎖に言及

トランプ大統領は27日、ソーシャルメディア企業を規制もしくは閉鎖すると発言した。Twitterが前日、トランプ氏のツイートに読者にファクトチェック(真偽確認)を促す警告マークを表示したことが発端だった。

トランプ氏は投稿で、ソーシャルメディア企業の政治的偏向を改めて批判した。SNS大手が保守派の意見を全面的に封じ込めているとし、「われわれはこれら企業を厳しく規制もしくは閉鎖する」と述べた。

自由主義のシンクタンクであるケイトー研究所の新技術プロジェクトの責任者、マシュー・フィーニー氏は最近の論説の中で、ソーシャルメディア企業がコンテンツに過剰な制限を課すことは逆効果だと主張し、このような制限は「今日のインターネットのあり方を破壊するリスクを持っています」と付け加えた。

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。