わが君は千代に八千代に細(さざ)れ石の巌(いはほ)となりて苔のむすまで(古今集)
歌意「我が君には、どうか千年も八千年も、ご長寿であらせますよう祈念いたします。細かな小石が成長して大きな岩となり、そこに厚い苔が生えるほどの遠い未来までも」。
詠み人知らずの「賀歌」として『古今和歌集』に載っています。
本来は、必ずしも一国のエンペラーの永代を言祝(ことほ)いだ歌ではありません。おそらく祝賀の席に招かれた客が、宴会の座興として、その主催者に贈った儀礼的な歌だったと考えられます。
唐の伝奇小説集『酉陽雑爼(ゆうようざっそ)』に、小石が成長して重さ四十斤のやや大きい石になった話があります。あるいは、そうした中国の古典から着想を得たのかもしれません。
(聡)
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