11月2日、 自民党内では、衆院選での事実上の勝利を背景に岸田文雄首相が長期安定政権に向け足場を固めつつあるとの見方が出ている。写真は1日、都内で記者会見する岸田首相。代表撮影(2021年 ロイター)

アングル:岸田政権、長期安定へ足場 政策面で独自色も

竹本能文

[東京 2日 ロイター] – 自民党内では、衆院選での事実上の勝利を背景に岸田文雄首相が長期安定政権に向け足場を固めつつあるとの見方が出ている。選挙で信任を得られたとして、首相が今後、政策面で独自カラーを打ち出す場面も増えそうだという。

ある自民党の中堅幹部は「3年の自民党総裁任期満了まで岸田政権は続くのではないか」と話す。来年夏には参院選が行われるが、衆院選惨敗を受けて立憲民主党は党内が混乱しており「敵失により大きな議席減はないのではないか」と楽観視する。同党にとって鬼門の参院選は乗り切れるだろうとしている。

今年8月には衆院選で自民が70-100議席失い、来年の参院選に向けて政権交代の可能性も取り沙汰されていた。10月に入り岸田政権発足後も、スタート時としては内閣支持率が芳しくなく、早ければ「参院選の前に、首相交代の可能性」(別の中堅幹部)も指摘されていた。そのころとは大きく情勢が変化している。

「党内は当面岸田体制で行こうと、党内の不況和音にはふたをする空気になっている」と政治評論家の原野城治氏(元時事通信解説委員)は説明する。

みずほ証券エクイティ調査部チーフエコノミストの小林俊介氏も「自民党が単独過半数を割れば公明党のキャスティングボートが強まり、自民党内で岸田おろしが始まりかねなかった」と指摘する。

自民党内では選挙結果について岸田首相の持ち味が反映されたとの声も聞かれる。ある幹部は「やはり安倍晋三元首相、菅義偉前首相とは違う首相とのイメージが好感を持たれた」という。

選挙期間中、岸田首相の応援に駆け付けた業界団体幹部は「誠実に一生懸命、訴えている姿が印象的だった」と強調する。

<バラマキにブレーキも>

岸田首相は、総裁選で安倍氏や麻生太郎前財務相(現自民副総裁)の支援による多数派工作で、安倍氏直系といわれる高市早苗氏(現政調会長)と共闘し、国民的に人気の高い河野太郎氏(現広報本部長)に勝った経緯がある。

このため「政策面で安倍・高市両氏に譲りすぎ、改革カラーが少なすぎる」(別の中堅幹部)との批判がくすぶっていたが、今後は政策で独自カラーを前面に出す可能性がある。

みずほ証券の小林氏も、総選挙での実質勝利により、「岸田首相は政策のフリーハンドを得ることができる」とみている。

すでに指摘されているのが財政政策面での姿勢だ。党内では「今年度補正予算や来年度予算で、不要なバラマキを排し、取捨選択・バランス重視でいくだろう」(党幹部周辺)との声が出ている。

従来から岸田首相は財務省に近く財政再建を重視するとみられていたが、過度のインフレが起こらない限り国債発行による財政出動を容認する高市氏や、安倍氏の影響が注目されていた。

(竹本能文 編集 橋本浩)

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