「目を護る10種の栄養」これで眼病を防ぎます

現代人はスマホ、パソコン、テレビなど、さまざまな要因により、目を酷使することが多くなっています。

そのため、白内障加齢黄斑変性、緑内障など、従来は中年以降の高齢者に多いとされていた眼疾患も、近年は若年化傾向にあります。そうした眼病を予防するため、天然食品のなかにある「目を保護する栄養素」と、その食材を10種ご紹介します。

それぞれ異なる「目を護る栄養素」の作用

視力低下を防ぐためには、目を適度に休めるほか、毎日の食事から「目を護る栄養素」を補給することも大切です。

栄養士の李佳蕙氏は、現在、キサントフィルの健康食品の広告が普及していることを挙げて、「一部の人は、目を保護するにはキサントフィルを摂取するのが唯一の方法だと思っているようですが、目の状態によって、必要とされる栄養素は従来からあまり変わりません」と言います。

その症状別に言うと、目の疲れ目にはアントシアニンリコピンビタミンB群が有効です。

アントシアニンは抗酸化物であり、微小な血管を強化し、血液循環を促進することにより、視力の減退を抑制し、目の疲労を取り除くことに役立ちます。ビタミンB群も眼精疲労の改善に大切な栄養です。アスタキサンチンは脳や目の中で動く数少ない抗酸化物質です。

加齢黄斑変性には、キサントフィル、ゼアキサンチンが有効とされています。どちらの栄養素も、水晶体と黄斑網膜を保護し、眼の青色光と黄斑変性の予防に役立ちます。

白内障の予防にはリコピン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどが役立ちます。

白内障は水晶体の老化に起因するため、細胞の老化を予防するこれらの抗酸化栄養素が必要です。ビタミンAは涙液を正常に分泌させて、眼球のうるおいを維持し、夜間でも視覚を正常に機能させ、ドライアイや夜盲症を予防します。

緑内障の予防と改善には、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アントシアニンが効果的です。緑内障は、主として眼圧が高いことによる神経の障害です。アントシアニンは正常な眼圧を維持します。DHAは前房水の排出を促進し、眼圧を下げる機能があります。また、DHAにはドライアイを緩和する効果もあります。
 

身近な食材で、目を護ることができます

「目を護る栄養素」は、様々な食品に含まれています。それぞれの栄養素が含まれる代表的な食品を、以下に挙げます。

1、 アントシアニン
赤紫色の野菜や果物(ブルーベリー、サクランボ、イチゴ、ブドウ、紫キャベツ)などに含まれます。

2、アスタキサンチン
海藻類、エビ、カニ、鮭などに含まれます。

3、ビタミンB群
豆類、魚、卵、肉、乳類および乳製品、全粒穀、雑穀、濃緑色野菜などに含まれます。

4、リコピン(リコペン)
トマト、パプリカ、パパイヤなどに含まれます。

5、ビタミンA
レバー類、乳類および乳製品、ホウレンソウ、サツマイモの葉、オレンジ色の野菜や果物(ニンジン、サツマイモ、カボチャなど)に含まれます。

6、ビタミンC
グアバ、キウイフルーツ、柑橘類、パパイヤ、イチゴなどに含まれます。

7、ビタミンE
ナッツ類、ゴマ、アボカドなどに含まれます。

8、ルテイン
緑色野菜(ブロッコリー、ほうれん草、アスパラ、レタス)、卵黄などに多く含まれます。

9、ゼアキサンチン
黄緑色野菜や果物(カボチャ、ほうれん草、トウモロコシ、オレンジ、パパイヤ)、卵黄などに含まれます。

10、DHA
魚(サバ、サンマ、サケなど)、ナッツ類、海藻類(昆布)などに含まれます。
 

「全ての栄養」を摂取する必要はありません

では、これらの栄養素を、毎日の食事のなかでどのように摂取したらいいでしょうか。

李佳蕙氏は、「目を保護する栄養素とそれを含む食物には多くの種類がありますが、全てをもれなく食べる必要はありません。例えば、眼精疲労を改善する栄養素にはアントシアニン、リコピン、ビタミンB群など各種ありますが、どれかを、適量摂ればいいのです」と言います。

現代人の食生活では、一度に全ての栄養素を摂取するのは難しく、現実的でもありません。李佳蕙氏は、1日に抗酸化栄養素(リコピン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE)のうちの一つと、アントシアニン、ルテイン、DHAを摂取するだけで、目を全面的に保護することができると言います。

一つの食品には多くの栄養が含まれています。例えば、ホウレンソウやサツマイモの葉には、ビタミンA、ルテイン、ゼアキサンチンが豊富に含まれています。イチゴはアントシアニンとビタミンCの両方を含んでいます。

つまり、1日の食事で、緑黄色野菜やほうれん草(ルテイン)、赤紫色の野菜(アントシアニン)、ナッツ(DHA、ビタミンE)を食べれば、必要な栄養素を摂取できることになります。

3回の食事に分けて例示すると、次のようになります。
朝食:レタストースト(ルテイン、ゼアキサンチン)、カフェ・ラテ(ビタミンB群)。

昼食:全粒穀飯(ビタミンB群)、豆類・肉類(ビタミンB群)、濃緑色野菜(ビタミンB群)。

おやつ:グアバジュース1杯(ビタミンC)、ナッツ類大さじ1杯(ビタミンE、DHA)。
夕食:海老入りパスタ(アスタキサンチン)、ブルーベリーまたはブドウ(アントシアニン、ビタミンC)。

紫ゴーヤー、ナス、黒豆にもアントシアニンが多く含まれていますが、高温で調理すると少し失われます。そのため、アントシアニンを摂るには、なるべく生で食べることができる野菜や果物、例えばブルーベリーやブドウを選ぶと良いでしょう。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)