「あなたの飲食は適切ですか?」台湾医師が4つの誤解を解きます

「少塩少糖」は確かに大切なポイントなのですが、留意するべきことはそれだけではありません。

健康に関心をもつのはとても良いことです。ただし、ダイエット減量のつもりで毎日やっている方法が実は適切でなかった場合、かえって深刻な病気を招くことにもなりかねないのです。そうしたリスクを避けるため、台湾の林旭華医師が、よく見られる「飲食の4つの誤解」について解説します。

誤解その1「カロリー削減のため1食抜く」

ダイエットのために、「1食抜いてカロリー摂取量を減らす」ことは適切ではありません。

どのような減量方法をとるにしても、大原則は「健康的減量」であり、「病的減量」ではないのです。体がやつれて体重の数値だけが減ったとしても、とても健康的とは言えないからです。

私たちの「五臓六腑」は工場のようなものです。細胞はその従業員です。従業員が食事をしなければ、工場の運営を維持できる体力は得られないことになります。

食事から摂取するカロリーが基礎代謝に必要な量を下回っていると、代謝そのものが遅くなります。

すると、体は飢餓に対する緊急対応を開始し、カロリー消費を最小限に抑えようとします。さらには、エネルギーを得るために筋肉を燃焼させます。筋肉が失われると基礎代謝率が下がり、結果的に太りやすい体質になってしまうのです。

実際に減らすべきは、毎食のなかの糖質とデンプン質の摂取量です。これは総カロリーを減らすことよりも重要なのです。砂糖を多く摂ると太りますし、皮膚が老化しやすく、ニキビができやすくなります。また内分泌の失調を起こし、糖尿病高血圧脳卒中のリスクを高めます。

しかし、私たちが目指すべき低糖とは「無糖」という意味ではありません。

台湾の栄養指導の専門家は、「通常の勤め人ならば、糖分摂取は1日に25gを超えないよう。ナッツのような低糖でも油脂の多い食べ物は、食べ過ぎてもよくないので、毎食後に2~3粒食べればよい」としています。
 

誤解その2「冬は活動量が少ないので、多く食べなくて良い」

寒い季節は、人の活動量が減る上、新陳代謝も悪くなるので、人間が活動に必要とするカロリーは減ります。

しかし寒くなると胃酸の分泌が活発になり、食欲が出てくるため、人間や動物にとって自然な本能として高カロリー食を食べたくなるのです。そのため、寒い冬に備えてカロリーを「食いだめする」ことが起きてきます。

動物の備蓄熱量は、もちろん冬眠に用います。人間は冬眠する必要がないのに食欲だけが旺盛になるので、つい食べすぎてしまいます。そこで、冬になると太る可能性が高くなるのです。

冬は活動量が少ないため、カロリーを多く摂る必要はないのですが、栄養バランスはとれていなければなりません。以下は、冬に太らないための5つのコツです。

1、野菜を多く食べて、食物繊維を摂りましょう。
2、鍋物の底に残った、油分の多いスープは避けてください。
3、葱、生姜、ニンニク、唐辛子などの香味野菜や香辛料を料理のなかに活用してください。保温効果があるだけでなく、新陳代謝も促進されます。体温が1度上昇すると、新陳代謝率が13%も向上します。
4、水分を十分補給してください。成人が1日に必要とする水分量は、体重1キロ当たり30~35mlです。(体重60㎏の人なら1,8~2,1ℓ)
5、積極的に運動をしてください。
 

誤解その3「食べ放題の店で大食い」

時間内「食べ放題」で人気のお店は、台湾にも、日本にもありますね。
ただ、こういったお店では、どうしても「元を取り戻す」という思考になりがちで、レストランに入ったとたん、皆必死で食べようとします。

このような無茶な飲食は腹部膨満、消化不良、胃炎、胃食道逆流、脂肪肝を引き起こしやすいのです。長期的に続けると胃が大きくなり、満腹感を得るためにいつも大量の食物を食べることになります。当然の結果として、体重や腹囲が急激に増加します。

食べ放題のお店であってもなくても、暴飲暴食はやめましょう。

誤解その4「油、塩、砂糖を摂らない」

「油、塩、砂糖の摂取量を少なくする」という提言は、デスクワークが多くてほとんど運動をしない人や甘いものが好きな人、脂っこいものを好む人を対象としています。

人それぞれ個人差があり、また活動の程度も同じではないので、自分の体に合わせて「必要量を摂る」のが正しいとお考えください。

例えば、夏に屋外労働をして大量の汗をかいたときは、水だけでなく、適量の塩分も補給しないと熱けいれんを起こして倒れてしまいます。

ある年の夏、私の病院へ熱中症のため救急搬送されてきた男性も、そうでした。
食塩水の点滴をして様態が落ち着いてから話を聞くと、その男性は高血圧の持病があったため、かかりつけの医師から「塩分を控えるように」と言われていたそうです。そのため、普段は水か白湯を飲んでいて、塩分補給は一切していなかったと言います。

また別の患者で、優秀なエンジニアの人がいました。自身の血糖値が高いことを心配するあまり、糖分を一切摂らないでいたところ、脳細胞が慢性的な糖分欠乏症になってしまったのです。

私から必要な栄養素は適量摂ることを説明したのですが、この患者はそのようにしなかったため、状態がさらに悪化して自立神経失調症となり、長く休職することになってしまいました。

油、塩、砂糖いずれにしても、ゼロにするのはあまりにも極端な考えで、やはり「適量を食事から摂る」「不足した分は補給する」を原則としてください。
持病のある方は、かかりつけ医や栄養士に相談して「自分の適量」を知るようにしましょう。

(文・林旭華/翻訳編集・鳥飼聡)