冬季は日照時間が短いこともあり、誰でも気分が落ち込みやすくなります。
これは、ある意味で体の正常な反応なのですが、あまりに気分が晴れなくて、体も動かせなくなると「冬季うつ病」と呼ばれる病的な状態になります。
さらに症状が重くなると、社会性不安障害(SAD)と呼ばれ、全く気力を失い、周囲の人からも明らかに気分が落ち込んでいるように見えてしまいます。
うつ病の症状が現れた多くの人にとって、室内に長くいると症状も重くなります。うつ病を繰り返す患者の約10~20%は季節性があり、とくに冬季に集中して再発します。
このような状態から抜け出すヒントとして、以下に「4つの方法」をご紹介します。医師の専門的な治療が必要ではない段階ならば、これらの方法を試してみてください。
1、ビタミンD
2015年のある研究では、30~79歳のフィンランド人5371人を対象に、カルシフェジオール(ビタミンDの一種)と抑うつ、不安との関係を調べました。調査対象者のうち354人がうつ病、222人が不安障害と診断された人でした。
その結果、ビタミンD3レベルが高い被験者ほど、うつ病のリスクが低いことが分かりました。特に、男性、若年者、離婚経験のある人、生活習慣が健康的でない人、または身体の代謝メカニズムに問題がある人では、血中ビタミンD3濃度の高い人のほうがうつ病のリスクが低くなります。
研究者は、「集団や生活様式、代謝などの諸因子による個人差を除いても、血中のビタミンDの濃度を高くすることが、症状の回避や軽減に有効であることが示唆された」と述べています。
2、光療法
光療法は、多くの研究者が今も研究している季節性情緒失調の治療法です。
この治療法は、症状が出ている数カ月間、毎日一定時間、蛍光灯の光を患者に当てるというものです。標準的な方法としては、紫外線防御シールド付きのフルスペクトルまたは白色蛍光灯を、1万ルクスで1日30分~2時間、2~4週間照射します。
2016年の研究では、季節性うつ病と非季節性うつ病の両方に効果があるとされています。また、光照射が抗うつ剤の効果を高めることを示唆するエビデンスもあります。
3、メラトニン
冬の日照時間の短さによって引き起こされるのが、典型的な季節性うつ病(情緒失調)です。
その症状を緩和するのに、生体リズムを調節する内分泌ホルモンであるメラトニンが役立つと理論上考えられています。1986年の3件の研究では、季節性情緒失調のある人はメラトニンの分泌が正常ではない可能性があることが示されています。
ただし、メラトニンのサプリメントを服用した場合の効果については、現在の臨床試験でも明確な結論は出ていないようです。2~3㎎のメラトニンを就寝時に服用すれば、体内時計の正常な周期を維持するのに役立つという主張もあります。
4、明るい屋外で運動する
非季節性抑うつの治療に、有酸素運動が有効であることが証明されています。
研究者は、季節性情緒失調に対する運動の効果も調べました。1998年のある研究により、屋外の明るい光の下で運動することは、冬季の情緒失調の改善に有効であることが分かっています。
健康な人でも、明るい屋外で運動したほうが、室内で運動するより効果的で、気分や活力を高める効果があります。
(文・GreenMedInfo/翻訳編集・鳥飼聡)
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