ドリームワールドのノイシュヴァンシュタイン城(下)

未完成の夢

1869年に着工されたノイシュヴァンシュタイン城は、当時の設計図によると、全部で360もの部屋がありました。しかし、ルートヴィヒ2世がこの世を去るまで、14の部屋しか完成しませんでした。

1886年、精神病にかかったとされていたルートヴィヒ2世は統治不能であるとして軟禁されました。

しかしルートヴィヒ2世は、ある出版社を通じて外部に情報を発信し、叔父のルイトポルト・フォン・バイエルンが王である自分の意に背き、勝手に政務を摂り、権力を奪い取ろうとしていることを国民に伝え、助けを求めようとしていました。

この重要な情報はルイトポルト政権に握りつぶされ、その後、ルートヴィヒ2世はベルク城に軟禁されることになりました。

翌日の晩、ルートヴィヒ2世は主治医と散歩に出かけたきり、行方不明になり、兵隊たちが捜索をしましたが、結局、シュタルンベルク湖からの遺体で発見されました。

ルートヴィヒ2世が亡くなってから、わずか7週間ルートヴィヒ2世は後に、ノイシュヴァンシュタイン城は観光施設として一般公開されました。

ノイシュヴァンシュタイン城は未完成の城であるだけでなく、ルートヴィヒ2世の未完成の夢でもあったのです。それでも、このおとぎ話のお城は後世に大きな影響を及ぼしました。

特に、城の外観と周辺の山と川などから成る風景は、標準的な「おとぎ話のお城」として、様々なところで参考にされています。最も有名なのが、ディズニーランドの城です。眠れる森の美女の城も、シンデレラの城も、皆このノイシュヴァンシュタイン城をもとにしています。

100年余りの間、ノイシュヴァンシュタイン城は世間に夢と希望、そして、幻想をもたらし、芸術家たちの美に対する認識と悟りを啓発してきました。この夢の中にしか出てこないような美しい城は、ルートヴィヒ2世によって具現化されたのです。

(完)

(作者・文宇/翻訳編集・天野秀)