白内障とは、眼のなかにある水晶体の進行性混濁です。世界で20億人以上が、この眼病の影響を受けていると言われています。
白内障は「40代から予防する意識を」
一般的に、40歳以降は、白内障のリスクが年々高くなります。米国では、80歳までにほとんどの人に白内障の症状が現れ、そのなかの多くが白内障の手術を受けます。
確かに、治療薬が開発されていない現段階で、手術は白内障の最も一般的な治療法です。
しかし、一部の専門家は「白内障の手術は絶対に避けられないものではない」と指摘しています。早期発見と適切な医療が必要なことはもちろんですが、生活習慣の改善および適切な食事による栄養補給は、白内障の発症を遅らせる上で有益と言えます。
また、場合によっては、発症した白内障をある程度改善することもできるのです。
約40年にわたり自然療法を研究してきた元バスタ大学講師のマイケル・マレー氏は、「食事から摂取する栄養素は、白内障および加齢黄斑変性の予防と治療に大きな役割を果たします」と言います。
マレー氏は、この2つの眼疾患が北米における視力障害の最も主要な原因であるとしたうえで、「眼の正常な保護機構が働いていても(白内障や黄斑変性のせいで)水晶体および黄斑の損傷を防ぐことを不可能にしている」と述べました。
「生活習慣病」がリスクを高める
白内障になりやすいのは、どんな人でしょうか。
マレー氏によると、「白内障の危険因子には、過度の紫外線、喫煙、糖尿病、高血圧、特定の薬品(例、コルチコステロイド)の長期使用、過度の飲酒などがある」と言います。
あなたがまだ40代の人であっても、これらの危険因子を1つでももつ人は将来の白内障リスクを有し、複数もつ人は、そのリスクが高まるということです。
米国立眼病研究所(National Eye Institute)も同氏の主張を支持しています。
それに加えて、事故などによる重度の眼の損傷、緑内障その他の眼疾患も、白内障の要因になりうると指摘しています。
健康な眼では、眼の透明な水晶体が光を集めて網膜に誘導し、その光の画像を神経信号に変換して脳に伝えます。ところが、白内障によって水晶体が濁っていると、網膜に映る画像がぼやけてしまうのです。
いずれにしても、白内障は速やかに治療しなければ、視力が落ちて生活に深刻な影響を与えるだけでなく、最悪の場合は失明にもつながります。
眼病を予防し、改善する抗酸化物質
ベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、セレン。
これらの抗酸化物質は、いずれも日常の食物から摂取できますが、眼の健康にとって非常に重要な栄養素です。
とくに亜鉛は、網膜の新陳代謝や視覚保護に重要な役割を果たすため、目の健康を守る上で最も重要なミネラルと言われています。白内障症例の90%以上で、亜鉛のレベルが有意に減少していることが確認されています。
そこで、白内障になる前に、意識的に抗酸化物質を含む栄養素を摂ることで、将来の白内障を予防できる可能性が高くなります。また、発症後であっても、病状の進行を遅らせることができるのです。
「毎日の食事からビタミンCや亜鉛を摂るような簡単なことでも、継続すれば目の健康を保つ上で大きな効果があります」とマレー氏は言います。
さらにマレー氏は、眼病の予防と改善に役立つものとして、ルテイン、ゼアキサンチン、ピクノジェノール(松の樹皮の抽出物)、ケルセチン、レスベラトロール、セレン、スピルリナ、魚油などを推奨しています。
これらの物質は、主として毎日の食事から摂取しますが、補助的にサプリメントを利用することも許容されます。
米国立眼病研究所は、「白内障は自然な老化現象の一部であることが多いため、多くの人にとって避けられない」としています。
しかし白内障は、上述したような「健康に良くない生活習慣」や眼病以外の基礎疾患に関連している可能性があります。そうした周辺の要因から消去していくことが、予防および改善につながると言えます。
(翻訳編集・鳥飼聡)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。