【芸術秘話】ルイ14世のジオラマ模型

切手の収集を趣味としている者もいれば、バッチやライターなど、様々な小物をコレクションする者もいますが、フランスの国王、ルイ14世がコレクションしていたものは少しばかり重く、規模も大きいです。それはなんでしょうか…都市です!

ルイ14世の影響を受けて、17世紀後半から18世紀の間、「ミニチュア都市模型」という景観と建物の縮尺モデルの制作が流行りました。本物そっくりなだけでなく、市内の建物や街並み、郊外の地形など、全てミニチュアとして再現されているのです。鳥瞰図や空中撮影技術もまだ発明されていない時代で、これほどの正確さは驚くべきものです。

実は、このような都市の模型を作ることは娯楽のためではなく、戦争の際に用いるためで、ルイ14世の時代では、都市を攻める時、基本的に包囲作戦を行っていたので、市内と市外の地形やその他の防御設備を把握したり、事前に予測したりすることは非常に重要なことだったのです。このような都市模型は非常に役立ち、その上、国王は城から離れることなく、前線の状況を把握したり、正しい命令を出したりすることができます。

 

ルイ14世。(パブリックドメイン)

 

しかし、実物の600分の1の大きさで、全長7mもあるミニチュア都市模型をどのように作るのでしょうか。実はそれほど難しくないのです。最初から都市全体から手がけるのではなく、パズルのように小さい区分に分けて、それから合体させるのです。

 

リール美術館に保存されているリール城の立体模型。(Velvet/Wikimedia Commons)

 

リール美術館に保存されているイーペル城の立体模型。(Velvet/Wikimedia Commons)

 

模型は、地面の部分に、まずのりを均一に塗り、その上に砂をまぶします。色のついた布やシルクで田んぼや野原に見せかけ、木々も布で作り、そして、建物や瓦などは固めの紙を用いていました。とても手間暇がかかる作業ですね!非常に繊細で時間のかかる仕事であるため、出来上がった後、どこに何があるのか一目瞭然です。

これらの王家特有のコレクションは歴史の変動の中で、敵国に持ち去られたり、置き忘れられたり、移動の最中に壊れたりなどしましたが、残されているものは補修され、現在、リール宮殿美術館で保存されており、一部はパリのオテル・デ・ザンヴァリッド(フランス軍事博物館)でも展示されています。

かつてルイ14世は、南征北伐して、様々な困難を乗り越え、手ごわい将軍たちを打ち負かし、領地を拡大していきました。戦争に勝った時の達成感と、国家と国民を守った時の誇りを、皆さん想像してみてください。当時の栄誉は時の流れと共に消えていきましたが、太陽王の名と生涯の実績は永遠に称えられ続けていくでしょう。

(翻訳編集・天野秀)

史多華