時間や手間を省くために、1食分余分に調理して、翌日も食べ続けるという、残飯食の経験がある家庭は少なくないでしょう。しかし、残り物を食べることは病気や癌になる心配が出てきています。では果たして、本当に残り物は健康を脅かすのでしょうか。実は、保存方法がポイントなのです。 残り物も正しい保存方法を覚えれば、気にせずに食べることができます。
残り物は発がん性はないが、
大腸炎を引き起こす可能性がある
「残り物はガンになる」という考えが、インターネット上で広まっています。 一晩寝かせた野菜からは亜硝酸塩が発生し、これが体内に入って残飯に含まれる発ガン性物質のニトロソアミンを生成するというのが一般的な説明です。
実は、野菜が育つときには窒素肥料が必要で、窒素を吸収すると自然に硝酸塩が生成されるのです。 また、野菜には硝酸塩を亜硝酸塩に変える酵素があります。 野菜は加熱調理されると、これらの酵素は不活性化し、亜硝酸塩を生成することはありませんが、食べる過程で野菜が細菌に汚染され、保存中にさらに増殖し、微量の亜硝酸塩を生成する可能性があるのです。
それでも、野菜に含まれる硝酸塩や亜硝酸塩の量は、人体に害を及ぼすほどの量には程遠いのです。 さらに、台湾農業委員会のホームページによると、野菜にはカロチンやビタミンC、Eが含まれており、亜硝酸塩がニトロソアミンなどの有害物質に変化するのを阻止することができるそうです。
「残り物はガンの原因にならない。 しかし、不適切に保存された食べ残しには細菌が繁殖し、下痢や腹痛、腸炎を引き起こす可能性があります」と米国のマウントサイナイ病院の腫瘍学者、ウィリアム・チャン氏は言います。
食べ残しを正しく保存する2つのコツ
もちろん、食べきれる量を調理するのがベストです。 しかし、うっかり作りすぎてしまった場合や、一度にたくさん作って時間を短縮したい場合などは以下の方法を実践してみてください。
1.食べきれない分は、使っていないスプーンなどで、あらかじめ保存容器に移し、冷蔵庫に入れて保存する
残りものは、食べた後に冷蔵庫に入れるのが一般的ですが、これでは保存時に菌に汚染されて腐敗しやすくなります。 調理したての食品を食べる前に保存することで、翌日も調理したてのようなきれいな状態を保つことができます。
2.熱い野菜を早く冷ますために、小分けにして保存する
米国農務省(USDA)は、食べ残しを長時間「温かいまま」にしないよう推奨しています。細菌の増殖は4℃から60℃の間で最も速くなると言われています。 熱いスープを作ったり、鶏を丸ごと焼いたりする場合は、中がすぐに冷めないことがあるため、 4℃以下で冷蔵保存してください。
食品を保存するときは、ラップに触れないようにしましょう。 残飯にラップをかけて冷蔵庫に入れる人がいますが、熱い料理や油の入った食器をラップに密着させておくと、可塑剤(かそざい)で汚染される可能性があります。 ラップから食品を離すためには深めの器を使うか、ガラス製の容器が最も安全です。
調理したものは、冷蔵庫で2〜3日保存できます。 冷凍食品は長く保存できますが、水分が失われ、味に影響が出ることがあります。
残り物を再加熱するときの注意点
残り物を再加熱するときは、「十分に加熱されていること」を確認しましょう。 特にスープの温め直しは、時々スプーンなどでかき混ぜて十分に沸騰させ、雑菌を取り除くとよいでしょう。加熱出来ていないスープを飲むと、胃腸の調子が悪くなることがあります。
食べ残しの加熱を繰り返すと、味に影響が出るだけでなく、ビタミンなどの栄養素が破壊され、栄養が損なわれてしまいます。 栄養を確保するために、残り物を2〜3回以上温め直すのは避けたほうがよいでしょう。
(翻訳編集:里見雨禾)
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