【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

加工食品や包装に潜む化学物質、健康を脅かす可能性

科学者たちは、公衆衛生に対する見過ごされがちな脅威として警告を発しています。包装材や加工機器からの合成化学物質が食品供給、特に超加工食品を汚染し、慢性的な健康問題の増加に寄与する可能性があるというのです。

学術誌『Nature Medicine』に最近掲載された包括的なレビュー記事では、食品中に含まれる最も一般的な合成化学汚染物質の種類とその発生源が強調されています。これらの物質は「食品接触化学物質(FCCs)」と呼ばれ、内分泌かく乱、生殖問題、がんリスクの増加など、慢性的な健康問題に関連する可能性があります。
 

食品接触化学物質の汚染が見過ごされてきた理由

FCCの広範な汚染性は、通常は安全と見なされる日常のプロセスを通じて、目に見えないかたちで食品に移行することから、公衆の関心を逃れてきた可能性があります。

細菌汚染や腐敗のように目に見えるリスクとは異なり、FCCは輸送、加工、包装、調理の4つの主要な経路を通じて、静かに食品と接触する材料から移行します。

輸送では、食品を保管・移動するための容器やチューブシステムが導入経路となります。容器のコーティングや輸送機器の素材からの化学物質が、温度変化や長時間の接触により食品に浸出する可能性があるのです。

加工段階では、原材料を最終製品に変える過程で、食品はさまざまな合成素材を含む機械やコンベアシステム、加工機器にさらされます。高温や摩擦などの製造工程は、表面からの化学物質移行を加速させる要因となります。

プラスチック製の食品包装も、合成材料と食品との長時間の直接接触を伴うことから、汚染の主要な発生源となっています。

食品調理は消費前の最終段階であり、加工とは異なり加熱が加わることが多いため、研究者たちは高温によって移行が増加すると指摘しています。

著者らは、食品や飲料に移行するすべてのFCCが人体に摂取される可能性が高いため、特に重要だと述べています。

研究では、特定の有害物質がこれらの経路を通じてどのように移行するかが明らかにされました。たとえば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(既知の内分泌かく乱物質であり潜在的な発がん性物質)は、金属製食品容器のコーティングから、輸送や貯蔵の際に移行します。

フタル酸エステルは、輸送や加工中にポリ塩化ビニル製のチューブからミルクへと移行します。また、容器の洗浄に使われる洗剤も、食品に残留物として残る可能性があります。

ファストフード製品は、生産およびサービスの全工程において使い捨て容器、包装紙、提供用資材など複数の包装素材に接触することから、特に高レベルの汚染にさらされる可能性があると、食品科学者でメンドシノ・フード・コンサルティングの主任食品コンサルタントであるブライアン・クオック・レ(Bryan Quoc Le)氏はエポックタイムズのインタビューで述べています。
 

FCC暴露による深刻な健康リスク

研究によると、食品接触化学物質(FCC)への暴露による健康影響は、単なる軽微な懸念をはるかに超え、数百万の人々に影響を与える深刻な慢性疾患と関連していることが示されています。

食品包装に使用されるフタル酸エステルは、生殖の健康に深刻なリスクをもたらし、特定の種類は早産との関連が指摘されています。早産はその後、腎臓病や糖尿病などの慢性疾患を発症するリスクを高めるとされています。

ジ(2-エチルヘキシル)フタル酸エステル(DEHP)—可塑剤として一般的に使用される人工化学物質—は、特に成人に対して懸念される影響を示しており、研究では肥満や糖尿病との関連性が報告されています。一部の研究では、DEHPへの暴露がこれらの疾患を直接引き起こす可能性が40〜69%あることが示されています。

また、パーフルオロオクタン酸(PFOA)もよく見られるFCCの一つで、さらに深刻なリスクを伴います。国際がん研究機関はこれを「ヒトに対する発がん性がある」と分類しており、十分な暴露レベルに達すると実際にがんを引き起こすことがあるとされています。

ビスフェノール、特によく知られているビスフェノールA(BPA)は、内分泌かく乱物質として機能し、体内のホルモンシステムを妨げます。このようなかく乱は、特に子どもや妊婦の生殖機能、代謝、発達に悪影響を及ぼす可能性があります。

現在では、バイオベースのコーティング、パーフルオロアルキル・ポリフルオロアルキル物質(PFAS)を含まないバリア、より安全な可塑剤などの代替品が利用可能になっていますが、これらはコスト、性能、保存期間の面でトレードオフがあると、ロサンゼルスの環境弁護士で消費者安全問題を専門とするヴィニート・デュベイ(Vineet Dubey)氏はエポックタイムズのインタビューで語りました。

「変化には時間がかかります。すでに『従来の方法』で食品を包装するための技術や工場、産業的な農場から食卓までの流通システムに投資している食品会社の協力が必要なのです」と彼は述べました。

超加工食品:最も高いリスクカテゴリー

最近の研究では、超加工食品はその複雑な製造工程と広範な包装が必要な点から、FCCによる汚染リスクが最も高い食品カテゴリーであるとされています。

このカテゴリーには、朝食用シリアルやスナックバー、冷凍の惣菜やチキンナゲットなどの加工肉、砂糖を大量に添加したエナジードリンク、包装されたパンやソーダ、クッキーやチップスといったスナック菓子、キャンディ、そしてケチャップやマヨネーズなどの調味料が含まれます。

これらの食品は、包装、加工、貯蔵の各段階で、特に多くの化学物質にさらされると、研究には関与していなかったノーウォーク放射線コンサルタントの認定放射線科医、ミア・カザンジアン博士(Dr. Mia Kazanjian)はエポックタイムズに語りました。

「これらの製品は、FCCに最も多く暴露される食品です」と、カザンジアン博士は述べています。
 

食品接触化学物質から身を守る

食品接触化学物質(FCC)の汚染が広範囲に及んでいるにもかかわらず、私たちは実際に暴露を減らし、健康を守るための具体的な対策を取ることができます。

食事の見直し

健康専門家たちは、可能な限り超加工食品の摂取を減らすよう推奨しています。その代わりに、最小限の加工・包装で済む新鮮な自然食品を優先して選びましょう。

包装された食品を購入する際は、できるだけ包装が最小限であるか、より安全な素材(例:ガラスやステンレス製)のものを選ぶようにしてください。これらの素材は、プラスチックに比べて食品への有害化学物質の浸出リスクが大幅に低く、安全性が高いとされています。

保存方法の改善

プラスチック製の保存容器は、ガラスやステンレス製の容器に置き換えることをお勧めします。これらは化学物質の移行に対する耐性が高く、より安全です。

また、プラスチック容器で食品を加熱するのは避けてください。高温によりプラスチックから食品への化学物質の移行が加速される恐れがあります。電子レンジや加熱前には、ガラスまたはセラミック製の容器に移し替えるようにしましょう。

調理器具の選び方

調理時には、可能な限り木製、ガラス、またはステンレス製の調理器具やまな板を使用してください。プラスチック製のまな板には、数百種類の化学物質が含まれている可能性があります。

また、可能な限り包装食品の代替品ではなく、新鮮な食材を選び、自宅での調理を心がけることで、不要な化学物質への接触を減らすことができます。
 

行動への呼びかけ

放射線科医のミア・カザンジアン博士は、将来的には、危険性のある合成化学物質の使用を最小限に抑えるよう食品システムが再設計されることへの希望を述べています。

「それは、まず人々の認識から始まります」と彼女は述べ、「多くの人が問題を知れば、声を上げる人が増え、安全な食品供給に向けた動きも強まるでしょう。ただ、それには時間がかかります」と付け加えました。

「とはいえ、短期間でできることもあります」とカザンジアン博士は続けます。「たとえば、食品に含まれる化学物質を検出するための高度な検査技術が必要です。食品メーカーはその結果に基づき、問題のある物質の使用を避け、安全な代替素材への投資を進めるべきです」

主任研究者のジェーン・ムンケ(Jane Muncke)氏は、FCCとその影響を含む「地球と人間の健康を一体的に捉える」ホリスティックな政策立案の必要性を訴えています。

最近の規制の動きは、希望を感じさせるものです。2022年、米国食品医薬品局(FDA)は食品接触用途で使用されていた23種類のフタル酸エステルの認可を取り消し、さらに9種の化学物質について使用制限を設けました。現在、米国環境保護庁(EPA)は、ジ-n-ペンチルフタル酸という特定のフタル酸エステルについて、製造や使用を新たに始める、または再開する前に通知を義務付けています。

ムンケ氏によると、すべての食品包装、加工機器、その他の食品接触材料については、最新の検査手法を用いた安全性評価が必要であり、食品接触化学物質やマイクロプラスチックに関する厳密な試験が求められています。

食品科学者のブライアン・クオック・レ氏は、「このテーマを学べば学ぶほど、実際に深刻な問題が存在し、現代社会に見られる多くの健康問題——特に重篤で診断されていないケース——の原因を説明できる可能性があることが明らかになります」と述べています。

(翻訳編集 日比野真吾)

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。