ソファの下にたまるホコリの塊は、ただ増えているだけではありません。実は、プラスチックも溜め込んでいます。私たちが日常的に使い、洗い、身に着け、捨てている身近な物が、目に見えないほど小さなプラスチック片を放出していることが、研究によって明らかになってきています。こうした「マイクロプラスチック」は、ボトル入りの水、ティーカップ、室内の空気中、さらには人間の動脈の内部からも確認されています。
日差しの差し込む窓辺を掃除しながら、「この正体は何だろう?」と思ったことがあるなら、その答えは、洗濯した衣類、開封した包装、日々使っているキッチン用品かもしれません。マイクロプラスチックは前触れなく現れ、幼稚園の工作後のラメのように、静かに残り続けます。
研究は現在も進められていますが、マイクロプラスチックやナノプラスチック(マイクロプラスチックよりさらに小さいプラスチック粒子)は、すでに人間の血液、肺、胎盤などで確認されています。さらに2024年の研究では、頸動脈プラーク(動脈内にたまる脂質などの沈着物)の中に存在していることが示され、その存在が心血管リスクの上昇と関連している可能性も示唆されました。だからといって、フライパンがあなたに害を加えようとしているわけではありませんが、不要な曝露をできる範囲で減らすことが望ましいのは確かです。
ここでは、よくある原因と、簡単にできる代替策をご紹介します。
ボトル入り飲料水:ボトル入りの水1Lには、数十万個ものプラスチック粒子が含まれている可能性があります。「湧き水(スプリング)」という表示は、言い換えれば「ポリマー(高分子化合物)も一緒に含まれている可能性がある」という意味合いに近いかもしれません。
代替策:水道水をろ過してください。基本的な活性炭フィルターでも一定の効果は期待できますが、性能の高いものほど、より小さな粒子を捕集できます。保存にはガラスやステンレス製のボトルを使い、コストコで大量のペットボトルを運ぶ習慣は見直してみましょう。
プラスチック製まな板:包丁を入れるたびに、目に見えないほど小さな破片が削り落とされる可能性があります。1枚のまな板から、1年間で数千万個もの粒子が放出されるとする報告もあります。
代替策:竹製や木製のまな板を使ってください。耐久性があり、包丁にも優しく、消毒や研磨によって表面をなめらかに保つことができます。
ノンスティック加工のフライパン:ノンスティック加工(焦げ付き防止)のフライパンについた傷は、コーティングが劣化しているサインです。傷んだPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、一般にテフロンと呼ばれる)加工のフライパンは、使用状況によっては多くの粒子を放出する可能性があります。
代替策:鋳鉄製やステンレス製のフライパンを使いましょう。コーティングの剥がれを気にせず使えます。
プラスチック容器の電子レンジ加熱:加熱は、プラスチックの放出を促進すると考えられています。中でも電子レンジは、影響が大きくなりやすい方法の一つです。
代替策:温め直す前に、食べ物をガラスや陶器の容器に移してください。洗い物は1つ増えますが、不要な曝露を減らすことにつながります。
メラミンスポンジ:魔法のように汚れを落としますが、使うたびに細かなプラスチック繊維が削り落とされます。それらは消えるのではなく、環境中へ移動していると考えられています。
代替策:セルロース製スポンジ、綿の布、またはブラシを使ってください。同程度の清潔さを保ちつつ、プラスチックの発生を抑えられます。
化学繊維の衣類(フリース、レギンス、スポーツウェア):化学繊維の衣類を洗濯すると、1回の洗濯で数千から数百万本の繊維が放出される可能性があります。乾燥機は、さらに多くを空気中に放出するとされています。
代替策:短時間・低温で洗い、繊維を捕集する洗濯ネットを使用するか、洗濯機用フィルターを設置してください。可能であれば自然乾燥がおすすめです。
カーペットや布張り家具:ポリエステルやナイロン製のカーペットやソファは、歩いたり座ったりするたびに繊維を放出することがあります。
代替策:模様替えをするなら、ウールや綿素材を選びましょう。そうでない場合は、HEPAフィルター(微粒子を高性能で捕集するフィルター)付きの掃除機を使い、湿らせた布で拭き掃除をしてください。靴を脱ぐ習慣も効果的です。
使い捨てカップや紙皿:熱い飲み物をプラスチック製カップに注ぐと、粒子が飲み物に移行する可能性があります。プラスチックコーティングされた紙皿やカトラリーも同様です。
代替策:再利用できるマグカップや陶器のカップを選びましょう。パーティーでは、コーティングされていない紙製品や「コンポスタブル(堆肥化可能)」と表示されたものを使用してください。
工作用ラメ(グリッター):子どもたちに人気のラメは、細かく裁断されたマイクロプラスチックそのものです。しかも、環境中に長く残り続けます。
代替策:輝きは控えめですが、マイカ(鉱物由来の粉末)や紙製の工作素材を試してみてください。思い切ってラメを使わない選択もあります。
哺乳瓶:ポリプロピレン製の哺乳瓶は、消毒や熱湯で振ることで、多くの粒子を放出する可能性があります。
代替策:可能な限りガラス製の哺乳瓶を使用してください。プラスチック製を使う場合は、十分に冷ましてから中身を入れましょう。
家庭内のホコリ:室内のホコリは、さまざまな粒子が混ざり合った存在です。床に近い位置で過ごすことの多い子どもほど、曝露の機会が多くなる傾向があります。
代替策:HEPAフィルター付き掃除機で定期的に掃除をしてください。羽根はたきではなく、湿らせた布で拭き取りましょう。玄関マットを敷き、来客には靴を脱いでもらうと効果的です。
まとめ
生活からすべてのマイクロプラスチックを完全に排除することはできません。それが目的でもありません。大切なのは、知らないうちに大量に招き入れてしまう状況を減らすことです。玄関先を掃くのと同じで、完璧にきれいにはできなくても、軽く手を入れるだけで汚れの蓄積は防げます。
明らかな発生源を減らし、いくつかの道具を見直したら、あとは夕食の準備に戻りましょう。
(翻訳編集 井田千景)
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