11月15日、ドイツ当局はウクライナ戦争に端を発する停電発生に備えて、緊急現金輸送の準備を進めている。写真は独ハンブルクのATM。2019年2月撮影(2022年 ロイター/Fabian Bimmer)

ドイツ、停電に備え現金輸送の緊急計画を準備=関係筋

[フランクフルト 15日 ロイター] – ドイツ当局はウクライナ戦争に端を発する停電発生に備えて、緊急現金輸送の準備を進めている。関係者4人が明らかにした。

関係筋によると、計画には独連邦銀行(中央銀行)が関与しており、資金需要の急増に対処するために手元資金を通常よりも厚くすることや、現金の引き出しを制限する可能性が含まれる。

またロシアがガス供給を削減したことを受けて、当局者や銀行幹部はここ数週間で準備を加速しており、現金輸送業者の優先的な燃料利用など現金の供給方法についても検討している。

独連銀、連邦金融監督庁(BaFin)、複数の金融業界団体が計画の策定にかかわっているという。

ドイツ当局は公式には停電の可能性を重視していないとの立場だが、この問題を深刻に受け止めていることが明らかになった。

ある関係筋は停電が起きた場合、個人が引き出す現金の量を制限することが選択肢になり得ると明らかにした。

連銀は市中にある現金を管理して貨幣流通の秩序を保っている。同筋は膨大な保有資金により連銀は需要が急増しても対応できると語った。

ただ銀行やATMへの現金輸送に問題があることが明らかになった。警備会社の業界団体BDGによると、停電時に燃料や通信の優先利用が認める法律の及ばない部分がある。BDGWのディレクター、アンドレアス・ポーリック氏は「大きな抜け道がある」とし、装甲現金輸送車も他の車と同じようにガソリンスタンドに並ばなければならないと指摘した。

一方、金融規制当局は、銀行の大規模停電への備えが十分でないことを懸念しており、これまで想定していなかった新たなリスクとして捉えているという。

ドイツ中央金融信用委員会によると、銀行は本格的な停電は「起こり得ない」と考えている。しかしそのようなシナリオに備えて「関係省庁や当局と連絡を取り合っている」とした。

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