欧州委員会委員長 EUに国境管理強化を要求 セウタ移民危機で88人死亡

2026/08/04 更新: 2026/08/04

スペインの飛び地セウタ(Ceuta)で先日、大規模な不法移民の越境事件が発生し、少なくとも88人が死亡した。この事件は、国境の安全と移民政策をめぐるEU内の激しい論争を引き起こしている。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、EUの域外国境の管理を強化し、必要な場所には物理的な国境の障壁を設置するよう呼びかけた。

ユーロニュースが8月3日に報じたところによると、フォン・デア・ライエン氏はスペインのペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相に宛てた書簡で「EUは重要な国境地域の防衛を一層強化しなければならない。これには厳重な監視や、必要な場合の物理的な障壁の設置が含まれる」と指摘し、今回の事件はその必要性を浮き彫りにしたと述べた。

これに先立ち、サンチェス氏は危機への対応が不適切だとして他の欧州各国政府から批判を受けていた。一方でサンチェス氏は、複数のEU首脳がセウタの移民危機を利用して自政権を攻撃していると非難しており、今回のフォン・デア・ライエン氏の対応は、スペインとの間の緊張を和らげようとする試みと受け止められている。

同氏は、EUは今回の危機から教訓を得るべきだとし、今後は五つの分野で取り組むと述べた。すなわち、不法移民を食い止めるためのEU非加盟国との協力強化、域外国境管理の強化、早期警戒システムの構築、人身密輸ネットワークの取り締まり、そして合法的な滞在資格を持たない者の送還の迅速化である。

セウタのフアン・ヘスス・ビバス市長はスペイン紙「エル・パイス」(El País)に対し、地元の遺体安置所にはすでに88体の遺体が搬入されており、その中には過去2週間の比較的小規模な越境の試みによる死者も含まれていると語った。死者の多くは溺死で、一部は防波堤や国境フェンスをよじ登る際に押しつぶされて死亡した。

一方、モロッコ側はより少ない死者数を公表しており、少なくとも11人が死亡、うち10人が溺死、1人が崖から転落して死亡したとしている。

セウタで不法移民の越境事件、死者88人に

今回の事件は7月29日から31日ごろにかけて発生し、推定で約5万〜6万人がモロッコから陸路および海路(多くは泳いで国境を越える形)でセウタに押し寄せた。

事件後、スペインの警察と軍はセウタで巡回を続けており、モロッコとの境界海域には全長500メートルの浮体式バリアを増設した。地元当局によると、越境者の大部分はすでに48時間以内に自らモロッコへ戻り、現地の秩序は次第に回復しつつあるという。

EU加盟国は8月4日に緊急の内相テレビ会議を開き、シェンゲン圏(Schengen)内部の一部国境管理を復活させるかどうかを含め、共同での対応策を協議する。イタリアはさらに、事件を受けてスペインとの間の一部のシェンゲン国境検査免除の取り決めを一時停止し、国境検査を復活させると発表した。

スペインへの批判とサンチェス氏の反論

しかし、この事件はEU内部での移民政策をめぐる対立も深めている。イタリア、デンマークなど22カ国の首脳はEUに連名で書簡を送り、今回の危機はサンチェス氏が最近約50万人の非正規移民を合法化した政策に起因すると主張している。彼らは、不法移民にとっての「引き寄せ要因」となりかねない政策に対処しなければならないと訴えている。

モロッコが今回の事件で移民の越境を黙認したのではないかとの疑問も外部からは呈されているが、フォン・デア・ライエン氏は依然としてモロッコを不法移民対策におけるEUの重要な戦略的パートナーと位置づけている。

同氏は、EUがモロッコとより制度的な協力関係の構築に向けて協議を進めており、今後はセウタおよびメリリャ(Melilla)の国境早期警戒システムを強化するとともに、モロッコへの技術的・財政的支援を拡充する方針を示した。セウタとメリリャはスペインが北アフリカに持つ二つの飛び地であり、EUで唯一アフリカと陸続きになっている国境でもある。

李皓月
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