ロシアとウクライナの双方が9日、ウクライナ南部の戦線で激しい戦闘があったと発表した。2022年4月撮影(2023年 ロイター/Alexander Ermochenko)

ウクライナ南部で激戦、反撃開始を示唆か 西側の装甲車を目撃

[キーウ 9日 ロイター] – ロシアとウクライナの双方が9日、ウクライナ南部の戦線で激しい戦闘があったと発表した。前線からの独立した報道がほとんどなく、ウクライナ側からの発言も乏しいため、ウクライナがロシアの防衛網を破って侵入しているか確認はできていない。

ただ、複数の軍事ブロガーが、ドイツや米国の装甲車が初めて目撃され、ウクライナが予告していた反撃の開始を示唆したと指摘した。

ロシアのプーチン大統領は9日、南部ソチで記者団に対し、ウクライナはロシアに対する反転攻勢を開始したが、成功していないと述べた。

一方ウクライナのゼレンスキー大統領は、軍の指導者と戦術や「成果」について話し合ったと述べたが、詳細は明かさなかった。

反攻作戦には、最終的に西側諸国が訓練・装備した数千人のウクライナ兵士が参加すると予想される。米国防総省は9日、米国製地対空ミサイルシステム「パトリオット」向けの追加砲弾など21億ドルのウクライナ向け追加支援策を発表した。

戦争賛成派のロシア人ブロガーは、ロシアとクリミア半島を結ぶ「陸橋」の中間地点にある、ウクライナ南部ザポロジエ州オリヒウ付近で激しい戦闘があったと記述。この地域はウクライナ側にとっての最も有力な目標の一つとみられている。

ロシア国防省は、オリヒウの南でウクライナの攻撃を2回、さらに東部ドネツク州ヴェリカ・ノボシルカ付近で4回撃退したと述べた。

南部戦線は、ウクライナ軍が進攻を試みることが広く予想されている。

ハンナ・マリャル国防次官はヴェリカ・ノボシルカで戦闘が続いており、ロシア軍はオリヒウで「積極的な防衛」を展開しているとだけ述べた。

<洪水被害で戦闘は影潜める>

南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムが決壊し、大規模な洪水被害が起きたことで、初期段階では反攻は影を潜めている。

洪水により、何千人もの人々が避難を強いられ、農地も壊滅的被害を受けている。

ウクライナ保安局は9日、同ダムをロシアの「破壊工作グループ」が爆破したことを証明する通話を傍受したと発表した。

ウクライナの参謀本部によると、過去24時間に東部で27件の武力衝突があった。また、ロシアによる空爆が58件、ロシアによる砲撃が31件あった。民間人の死傷者が出ているほか、民家や病院、その他のインフラにも被害が出たとしたが、詳細は明らかにしなかった。

ウクライナは16回の空爆を行った。前線が移動したかどうかについては明らかにしていない。

ロシア当局によると、ウクライナ東部国境に近いロシア西部のボロネジで9日、集合住宅がドローン(小型無人機)による攻撃を受けた。この攻撃では3人が負傷した。また、ベルゴロドのオフィスビルやクルスクの石油基地付近にもドローンが落下したという。

ウクライナはこの件に関して公式に反応していない。

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