琵琶は、弓ではなく爪やバチで弦をはじく撥弦楽器(はつげんがっき)の一種です。古代、撥弦楽器を演奏するとき、数本の弦を内側から外へ向けて奏でる音を「琵」と言い、外から内へ向けて奏でる音を「琶」といったことから、撥弦楽器は「琵琶」と称されるようになったと言われています。
つまり、古代「琵琶」と呼ばれた楽器は、現代私たちが「琵琶」と呼んでいるものだけでなく、月琴、四弦、三弦など全ての撥弦楽器のことを指していたのです。
中国楽器は、それぞれに独特の音色を持っており、明るく躍動感のある感覚を表し、憂い悲しみ、叙情的な曲風を奏でることができます。しかし、幾種類もの曲風をきめ細かく調和を以って表現できる楽器は多くありません。現代の琵琶は、音域と音量を広げることによって、音色がいっそう明るく澄み、表現力がいっそう高まりました。琵琶が中国楽器の中でも表現力の最も豊かな楽器だと言われるゆえんがここにあります。
琵琶は、和音を奏でることができ、他の楽器と組み合わせなくても主旋律と伴奏の響きを出すことができます。そのため、水のように柔らかく、女性のしとやかでやさしい感じを奏でる一方で、力強さと緊張感を内に秘めた曲調を表現することもできます。勇ましく激昂し、リズミカルで力強い表現は、あたかも軍隊が面前にいるかのような感覚です。このように、琵琶の表現力は豊かで、聴く人に超越的な神秘感をも与えるのです。
しかし、琵琶の演奏を学ぶとなると、他の楽器ほど容易ではありません。開始当初はまず指の痛さに耐えなければなりません。現代の琵琶の弦は金属線でできているため、習い始めた当初は、左手の指に激痛を感じることでしょう。その痛みは、しばらく続き、場合によっては指にたこができます。
琵琶は、基礎を習得するまで随分長い時間がかかるため、多くの人は通常途中で挫折してしまい、「鑑賞するだけ」になってしまいます。ただ、根気よく練習を続け、楽曲の趣と風格を奏でることができるようになれば、きっと大きな達成感を感じることでしょう。
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