経産省のトランスジェンダー職員の女性トイレ利用をめぐって、最高裁は利用を制限すべきではないと判じた(Wenliang Wang/大紀元)

トランスジェンダートイレ利用訴訟、国が逆転敗訴 公共トイレ利用に「触れない」=裁判長

戸籍上は男性で、性同一性障害と診断された経済産業省職員が、女性トイレの利用を不当に制限されたとして国を訴えた訴訟で、最高裁判所は11日、利用制限を認めない判断を下した。いっぽう、今崎幸彦裁判長は本判決が利用者がある程度限定された職場などのトイレに関するものであり、不特定多数が使用する公共トイレのあり方に「触れるものではない」と指摘した。

最高裁は判決で、原告の血液中の男性ホルモン量は少なく、「性衝動に基づく性暴力の可能性が低い」という医師の認定に言及、トラブルは想定し難いと判じた。さらに、女性職員が違和感を抱いているとの記述は主観的であり、「明確に異を唱える職員」がいなかったとして、控訴審を破棄した。

訴えを提起した50代職員は戸籍上は男性だが、ホルモン治療を受け、女性として生活している。判決文によると、原告は幼少の頃から自己の性別に違和感を感じ、1998年頃から女性ホルモンの投与を受け、99年には医師より性同一性障害の診断を受けた。2008年頃からは女性として私生活を送り始めた。性別変更に必要な性別適合手術は健康上の理由で受けなかった。

▶ 続きを読む
関連記事
留学生の学費は見直しが進む。早稲田大が引き上げを検討し、東北大は2027年度から1.7倍の90万円へ。支援体制の負担増が背景にある。
国内線の路線維持に向け、国土交通省が航空会社どうしのダイヤ調整を、減便せず便数を保つことを条件に認める方針を示すことになった。便が同じ時間帯に集中する課題を改善し、搭乗率の向上につなげたい考えだ。
次期米大統領選の鍵を握るZ世代。彼らは傍観者ではなく、困難な経験から育まれた切迫感と多様な意見で政治を動かし始めている。既存政党は彼らの「言葉」を理解し、対応できるのかを問う
古代から続く中国伝統文化の精神を現代に甦らせる神韻芸術団。その豊かな芸術世界を紹介する「神韻作品」ポスター展が、12月と1月に東京都内で開催される
三年もの間、民の課役をゆるし倹約を貫いた仁徳帝。民の竈の煙に安らぎを見いだしたその御心は、豊かさの本質を問い直す今の日本にも静かに響いている