環境保護団体グリーンピースが3日発表した調査によると、中国は2023年前半に50ギガワット(GW)を超える規模の石炭火力発電所の新設を承認した。写真は2010年10月、中国の内モンゴル自治区で撮影(2023年 ロイター/David Gray)

中国、石炭火力発電所を増設 環境よりエネ安保に重心=調査

[シンガポール 3日 ロイター] – 環境保護団体グリーンピースが3日発表した調査によると、中国は2023年前半に50ギガワット(GW)を超える規模の石炭火力発電所の新設を承認した。中国が化石燃料消費の削減よりもエネルギー安全保障を重視していることを示唆する。

異常気象も影響している。干ばつの影響で水力発電能力が低下。停電を回避するため、石炭火力発電所の建設を急がざるを得ない事情もある。

中国は温暖化ガスの排出量を30年までにピークアウトさせることを目指しており、習近平国家主席は26年から30年の間に石炭の使用を減らし始める方針を示している。

ただ調査責任者のGao Yuhe氏は「当局は石炭火力発電が30年にかけて『合理的なペース』で伸びると明言している」と述べ、習主席の約束がほごになる可能性が出てきたとみる。

中国の石炭生産量は昨年9%増加し45億トンと、世界全体の半分以上を占めた。今年も増加傾向にある。

石炭火力発電所の新設計画の多くは、天候に左右される再生可能電源を補うことが目的と説明されている。しかしGao氏は、「石炭偏重」が、再生可能エネルギーの信頼性を高めるエネルギー貯蔵インフラへの投資を妨げていると指摘する。

オーストラリア国立大学の気候研究者ジョリット・ゴセンズ氏は、発電所新設計画の規模から当局の主な動機は経済成長と考えられ、自然エネルギー支持という主張は説得力を失いつつあると述べた。

ただ中国国国家能源局のデータによると、石炭火力発電所とともに再生可能発電施設も増え続けており、上半期の発電能力は109GW増加した。

ゴセンズ氏は「再生可能エネルギーが競争力を増し続け、記録的なペースで建設されていることは朗報だ。その結果、石炭市場のシェアはすぐに縮小に転じるだろう」と述べた。

関連記事
2024年5月15日、中国広東省広州市にあるショッピングモールの6階から赤い服を着た女性が転落し、死亡した。自殺とされる。女性は生前「公権力に失望した、怨霊になって復讐してやる!」 とSNSに投稿したとされる。
中共が4月30日に開催した中央政治局会議では、中国における経済問題に対処するためのより効果的な政策が発表されるはずだったが、経済にほとんど実質的な効果をもたらしていない既存の政策の焼き直しに過ぎなかった。
夏休みを前にして、多くの中国の学生たちが海外のサマースクールへの参加を希望している。しかし、ある保護者が訴えている問題がある。その保護者の子どもが、米国のサマースクールに応募したところ、同じ学校の46人の学生が、一斉にビザを取得できなかったのだ。その原因は、事前トレーニングを担当した教師が、生徒たちに虚偽の情報を伝えるよう指導したためだ。
中共(中国共産党)の公安局に所属していた秘密警察工作員が、オーストラリアに亡命した。初めて公の場に姿を現わし、 […]
中国広西省白色市の病院で患者の健康な「右ひざ」の組織を切除してしまった医療ミスが起きていたことがこのほど、明らかになった。