中国 幼い子に残る「役の影響」

中国 演技と現実の区別つかぬ子役 短編ドラマ急成長の裏側

2026/03/18 更新: 2026/03/18

近年、中国では短編ドラマが急速に広がり、子役の出演も増えている。横店影視城や鄭州、西安など各地の撮影現場で、子役たちは「社長」「花嫁」「名探偵」などを演じ、年齢を大きく超えた大人向けの内容に関わっている。中には暴力やきわどい表現を含む作品もある。中国の官製メディア「中国新聞週刊」は、子役の子供たちが演技と現実の区別があいまいになるケースがあると報じている。

報道によると、9歳の子役が大人のような見た目に整えられ、年上の女性に対して意味深な表情を見せる演技を求められていた。10歳の子役は、父親の不倫相手の側に立ち、実の母親を追い出す役を演じ、母親を罵るセリフを繰り返している。

こうした役を長時間演じることで、子供に変化が現れる例がある。ある児童俳優は怒りやすくなり、現場で突然怒鳴るようになった。別の子役は、強い立場の役を演じた影響で、学校でも同級生に対して「家族ごと消してやる」といった言葉を口にするようになったという。演技の影響は実生活にも及び、現実との区別があいまいになるおそれがある。

背景には、短編ドラマ業界の構造もある。脚本の参入ハードルは低く、経験の浅い書き手がヒット作品をまねて制作するため、内容は誇張され、展開も極端になりやすい。子役が出演する作品でも、虐待や過激な描写が含まれる。

家庭の事情も大きい。子供を出演させる理由は「有名になってほしい」という期待のほか、「収入源」としての側面もある。出演料が親の数か月分の収入に相当することもあり、子供が家計を支える存在というケースもある。保護者は仲介業者に費用を払い、深夜でも遠方でも撮影に付き添う。競争も激しく、一つの募集に数百人から数千人が応募することもある。

専門家は、幼い子供は現実と作り話の区別が難しく、早い段階での演技経験が認知や心理の発達に影響を与えると指摘する。一方で、保護者の中には「演技は仕事であり現実とは別」として問題視しない声もある。ただ、子供は見たものをそのまままねるため、社会の悪い面まで取り込んでしまう懸念がある。

中国の短編ドラマは2020年ごろから拡大し、2023年以降に大きく広がった。こうした状況を受け、当局は2026年になってようやく規制に乗り出したが、問題はすでに広がっていた。

専門家は、これは単なる業界の問題ではなく、社会全体の価値観の変化とも関係していると指摘する。利益を優先する中で、子供が早い段階から大人の世界に巻き込まれている現実がある。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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