中国財政 緊縮強化も限界指摘 「沈む船は倹約で救えず」

2026/03/18 更新: 2026/03/18

中国共産党(中共)の重要会議「両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)の期間中、財政引き締めの動きが一段と強まっている。中共財政部は各級党政機関に対し、「倹約生活」の徹底と「三公経費」(公務用車、公務接待、公費出張)の削減を改めて要請した。

藍仏安財政部長は3月6日の記者会見で、「現在、中国の財政は逼迫している」と危機感を示し、「非効率的・無効な支出を大幅に削減する必要がある」と強調。党政機関に対しては「一銭を二つに割って使う覚悟」で臨むよう求め、中央レベルの三公経費を7%以上削減するほか、会議や研修費も10%削減する方針を示した。地方政府でも緊縮が進み、20省で節約額は計120億元(約2400億円)を超える見通しだ。

しかし、こうした緊縮路線に対し、海外からは厳しい見方が相次いでいる。3月11日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「沈みつつある船は、倹約では救えない」と指摘し、単なる歳出削減では構造的問題の解決には至らないとの認識を示した。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授も、「中共が直面する財政圧力は、支出削減だけで解決できる性質のものではない」と分析。「仮に120億元を節約しても、数十兆元規模の財政全体から見れば焼け石に水だ」と述べた。その上で、「真に危機を乗り越えるには政府機構の大幅な縮小や人員削減が不可欠であり、単なる『ベルトを締める』対応では不十分だ」と指摘した。

同様に、北京の元弁護士で独立研究者の頼建平氏は、こうした緊縮スローガンが繰り返されてきた背景について、「中国経済の実態が日ごとに悪化しているためだ」と分析。デフレの進行や企業収益の低迷、税収減少などにより、「庶民生活は逼迫し、経済の活力が失われている」と指摘した。

一方で、政権維持に不可欠な治安維持費や国防費は削減が難しいとの見方も根強い。頼氏は「軍や治安部門への支出を削れば体制の維持が揺らぐ」とし、「結果的に削減のしわ寄せは行政経費に集中する」と述べた。

2026年の予算草案によれば、中国の一般公共予算支出は約30兆元(約600兆円)、新規債務は約12兆元(約240兆円)に達する見込みで、財政の重圧は一段と増している。さらに政府は3000億元の特別国債を発行し、国有大手銀行の資本増強を支援する計画も盛り込んだが、これについても「地方の隠れ債務の拡大や金融システム不安を示唆する危険なシグナル」との指摘が出ている。

また、政府が1000億元の補助金を投入し、民間部門への融資拡大を促す方針も打ち出したが、米メディアは「根本的解決にはならない」と批判。消費拡大を掲げながら具体的な数値目標を欠く点を問題視し、「政策はスローガンの域を出ていない」とした。

米経済学者の黄大衛氏は、悪循環からの脱却には「減税、特に不動産および企業負担の軽減」と「社会保障の拡充による消費喚起」が不可欠だと提言している。

米紙は総じて、「経済低迷下での財政引き締めは、消費と成長をさらに押し下げる可能性がある」と結論づけ、中国経済の先行きに強い懸念を示した。

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