咳や痰、アトピー性皮膚炎などに悩まされる秋 肺の調子が悪いと老けやすくなる?

寒くなり乾燥するは、咳や痰、アトピー性皮膚炎や鼻アレルギーに悩まされる人も少なくありません。そこで、郭大維院長が秋の節気(24ある季節の移り変わり)に養生するための、6つの養生法と食事療法を、レシピとして紹介してくれました。

中国文化の二十四節気の考え方では、1年を4つの季節、各季節を6つに区分し、季節や気候の変化が人に与える影響を考慮しているのですね。人体の生理や病理は自然界の影響を当然受けるものですから、節気の変化に合わせて養生すると、健康にとても役立つと言われているのです。

 

秋に起こる病気

秋は乾燥の季節です。咳、痰、皮膚の乾燥に始まり、口や鼻の乾燥、喉の乾燥や痛みなどは皆、この季節の乾燥が引き金となっています。秋の乾燥はを傷めますので、どのように肺を養い、痰を解消し、陰(冷却と保湿)を養い、乾燥を潤すかが秋の健康法のポイントになるのですよ。水分を多く摂り、潤い効果のある食べ物を多く摂り、日中の過度の発汗を避けることが、肺を傷めない方法なのです。

秋の乾燥は肺にダメージを与えやすい。 (nonpii / PIXTA)

また、秋は感傷的で憂鬱な季節ですね。なので、精神疾患の患者や更年期の女性は、秋の感情・感傷の浮き沈みで病気の発生率も増えるのです。心血管疾患に影響するため、秋はそれに対する予防にも、慎重さが必要な季節なのですね。

不安症やうつ病患者は不眠症になりやすく、免疫系に影響があり、風邪を繰り返し、免疫障害を引き起こし、帯状疱疹、口唇ヘルペスの可能性が高くなります。

秋は悲しみと憂鬱の季節でもあります。 (プラナ / PIXTA)

秋の節気の養生6つのポイント 

漢方医は、肺は外界から体を守る第一の防御線と考えています。乾燥する秋に対して、どのように肺に栄養を与え、乾燥から潤いに代え、体を強くするにはどうすればいいのでしょうか? 郭大維院長が、それぞれの節気(24節の分類)の養生方法によって説明します。

秋には六節気があります。立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降です。

1. 立秋(りっしゅう):秋の感覚はあるものの、まだ夏の暑さが残り、刺激の強い辛い食べ物は肺の気を消耗するので、避けたほうが良いのです。秋は収斂(しゅうれん:物事が内向きにまとまること)の季節で、肺を潤すハチミツ、痰を溶かして陰(冷却と保湿)にして肺を養うビワや、体液の分泌を促し胃腸に効くもち米をたくさん食べましょう。

2. 処暑(しょしょ):秋の雰囲気に変わり、涼しさを感じるこの時期は、肺の熱を取り除く蓮根や、肺を養うハチミツを多く摂りましょう。ハチミツには腸を潤し便秘解消の効果もあります。梨汁を飲めば咳が治まり、白きくらげの粘液は皮膚と肺に栄養を与え、秋の乾燥を防ぐ良いデザートとなります。

3. 白露(はくろ):一年で昼夜の寒暖の差が最も大きい節気です。漢方医は、昔から子供の腎気(じんき:中医学では、腎臓は生命の根本とされ、腎気は個人の生命力や健康に関連する重要な概念)を強め、脾臓と胃を整え、背を伸ばして丈夫にする薬を処方しました。栄養補助食品として、白キクラゲ、ハスの実、百合、クコの実、さらに大根や、大豆製品をたくさん食べることもあります。豆腐は製造過程で炭酸カルシウムが添加され、骨粗鬆症の更年期女性に十分なカルシウムを供給するのですね。

白露は一年で最も昼夜の寒暖差が大きい季節です。 (健康1+1 / エポックタイムズ)

4. 秋分(しゅうぶん):秋の乾燥から冷たい乾燥に変わり始め、寒気が明らかになる頃です。食事にはリンゴ、ブドウ、サトウキビに加え、ゴマ、クルミなどの暖かく潤う食材をたくさん摂り、肺を潤す役割を果たします。この季節は体の水分が不足しやすく、1日2L前後の水を飲むことが大切ですよ。

5. 寒露(かんろ):感情的に行き詰まり、不安になりやすい人は、この季節には、不安やうつ状態が出てきます。さらに不眠などの問題が襲ってきます。この場合、外出して散歩し、日向ぼっこがいいでしょう。脳のエンドルフィンとセロトニンを増加させる運動で、気持ちを改善しましょう。飲食ではナッツ類や乳製品など、トリプトファン(アミノ酸の種類で、人間の体において必須アミノ酸の一つ)を多く含む食材を食べましょう。

白キクラゲとクコの実のスープ。 (xiaosan / PIXTA)

6. 霜降(そうこう):秋と冬の分岐点です。温度がさらに低くなりますので、肺を潤う食材をより多く摂りましょう。例えば、大根スープ、山芋スープや蓮根スープ、あるいは白きくらげハスの実スープ、粟粥、ハト麦粥等で、果物は柿を食べましょう。煮込みスープが好きな方はハト麦、アミガサユリ、銀杏、アーモンドなどの薬草を入れましょう。これらの食材は肺を養い、痰を切り、腸を潤すのですね。

 

秋の養生ライフスタイル

前に紹介したの食事療法に加え、郭大維院長は、普段の食生活に3つのポイントを提案しています。

1. 唾液分泌を促し、乾燥を解消する
山芋、百合、大根、雪梨、蓮根及び沙参(ささんは、日本語で「サンソウ」とも呼ばれ、アジアの一部地域で栽培される植物の一種)などの白い食材が良く、全て肺を滋養する素晴らしい食べ物です。辛いもの、焼いたもの、揚げたもの、冷たいもの、例えばキムチ、キュウリの漬物、オーガニックの生食、レタスのサラダなどは控えましょう。どうしても食べたい時は、茶葉煮の卵やゆで卵などの加熱食品を加え、冷たいものや生ものとのバランスを取りましょう。

2. 陰(冷却と保湿)を養い、乾を潤す
早寝早起きだけでなく、呼吸法を身につけ、鼻から息を吸い、口からゆっくり限界まで吐き、交感神経を安定させ、副交感神経をゆっくり上昇させ、自律神経や陰陽のバランスを保つことで整えるのです。

3. 腸活(腸内環境 を整え、それを維持する)により、高血圧などの血管疾患を予防する
肺の病気を予防のするため、鼻の両脇の迎香ツボをマッサージや、胸の間の膻中のツボ(位置は、左右の乳首を結んだライン、第4肋間の高さと、身体の体の真ん中のライン、胸骨が交わるポイント)を押すなど、気の向上に百会ツボ(頭の天辺辺り)を叩きます。寒くなり、少しずつ厚着にして、体が気温の変化に順応できるようにしましょう。咳が出るときは、アミガサユリやアーモンド、陳皮などを多めに服用するとよいでしょう。
口がからからに乾く人は、滋陰潤燥の食材、例えば沙参(ささん)、麦門冬(ばくもんどう)、雪梨(ゆきなし)、馬蹄桿(ばていかん)などの漢方薬を摂りましょう。 喫煙者は、インフルエンザに感染後、慢性疾患から瘀血を起こすことが多く、食事に竹蔗(ちくしゃは、中国語で「サトウキビ」を指す言葉)、生薬に生毛根(せいもうこん)、便通をよくするために滋陰潤燥の生地黄(しょうじおう)を加えましょう。

血栓症患者は、血液循環を活性化し、瘀血(おけつ:血液の滞留や循環不良に関連する状態)を取り除く必要があり、田七(でんしちは、漢方薬や伝統的な中国医学で使用される生薬)の服用か、野菜ではニンジン、トマト、カボチャ、ホウレンソウ、ケールなどを摂るか、動物のレバー、牛乳、卵黄を食べるとよいでしょう。肺臓を養い、潤いを与える効果があります。

郭大維院長は、飲み物では、クコの実入り紅ナツメ茶と、はちみつ入りレモン汁を勧めています。熱っぽい風邪には、はちみつ入りのぬるま湯が肺を潤し、痰の解消に役立ちます。果物では、ブドウには風邪やインフルエンザを予防する天然の重合フェノールや、抗酸化力を高め免疫力を高めるレスベラトロールを含むのですね。

また、体質は個人差がありますから、対応する治療法も異なってきます。具体的で詳細な治療計画は、専門の医師にご相談しましょうとのことです。