シリーズ「目に見えない電磁界(電磁波)の危険性」では、一般的な家電製品から5Gに至るまで、あらゆる場所に潜む電磁界・電磁波の影響と、脳と身体への影響について詳しく見ていきます。
米ニューヨーク州イサカ在住のアンドリュー・モルナーさんと妻のマリーさんは今、地元で政治活動を主導し、自治体に対し無線設備の設置場所を管理するよう呼びかけている。
まさか自分が政治活動に参加するとは思ってもいなかったとアンドリューさんは語る。
すべては4年前に始まった。モルナーさん夫婦は、イサカのコーネル植物園をハイキング中に頭痛を感じ始めたという。
「周囲を見回すと、90メートルくらい先に新しい巨大な携帯電話基地局があった」とアンドリューさんはエポックタイムズに語った。「その場から離れると、10分もしないうちに2人ともすっかり気分が良くなった」という。
米国にはこのような電磁過敏症(マイクロ波症候群とも呼ばれる)を抱える人々が数百万人も存在する。
マイクロ波症候群の人は、電源からの電磁場(EMF)や、電話、携帯電話基地局、さらに現在急増中のスモールセルと呼ばれる小型基地局から発信される無線信号にさらされると、めまい、不眠症、痛みを感じたり、気分の悪化、記憶障害といった症状を発症する可能性がある。
5Gとスモールセルの台頭
無線設備、特にスモールセルが、住宅地や商業地域に「雨後の筍」のごとく出現し始めている。
無線設備には2種類ある。基地局にある大出力のマクロセルは、大型のものでは高さが90メートルに達し、20本以上のアンテナを備え、半径5キロから10キロの範囲をカバーする。 一方、スモールセルははるかにコンパクトで、信号を中継し、数百メートルから約3キロまでの範囲で通信環境を維持する。
そして、5G通信の要となるのがこのスモールセルだ。
5Gの周波数は4Gと重複しているが、一般に5Gの上限周波数は4Gより高く、透過性が低くなる。したがって、接続を維持するにはより近くのアンテナを必要とする。
スモールセルは、5Gが展開されるなかで急速に設置されていった。すでに家の外、街灯の柱、歩道沿いの電柱などに見られる。
米国では、2020年に40万基を超えるスモールセルがあり、2022年末には約150万基が稼働している。
スモールセルは、5Gの発信とは別に、3Gおよび4Gの電波も発信するが、いずれも人体への有害性が示されている。人々はより高密度かつ強力な無線放射線にさらされ、潜在的な健康リスクが増大することになる。
これらの電波が住民の健康に及ぼす悪影響について、多くの論文はエビデンスを示している。
スウェーデンのオレブロ大学病院の元腫瘍学者レナート・ハーデル博士は、新たに設置された5Gスモールセル、または基地局の近くに住む住民を対象とした3件の事例研究を発表した。
そのうち、1月に発表された1件の事例では、以前は健康だった2人の被験者(63歳男性と62歳女性)は、彼らのアパートの屋根に5Gスモールセルが設置された後、疲労、不眠症、耳鳴り、皮膚疾患、血圧異常の症状を発症した。
ハーデル博士は、新しい基地局が設置された後、無線周波数信号の強度が増したことを発見した。
「症状が重かったため、夫婦はアパートを離れ、放射線強度の低い小さい事務室に移った。数日のうちに症状のほとんどは軽減したり、完全に消失したりした」と論文に書いている。
過剰な基地局の設置を防ぐ
2020年、通信大手ベライゾンはニューヨーク州イサカにマスターライセンスを申請した。承認されれば、イサカに隣接する地区に新たな通信施設を設置する許可を申請できる。
モルナーさん夫婦は2019年に欧州旅行から帰ってすぐ、この申請の承認差し止めを求める嘆願書に人々が署名しているのを目にしたという。
夫婦は反テクノロジーではなかったが、無線電波への過敏症があったため、懸念はしていた。
この嘆願書には500を超える署名が集まったものの、活動を次の段階に進めようとする人はほとんどいなかった。 そこでモルナーさん夫婦は自分たちが立ち上がろうと決意した。
その後、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった。
「2人ともコロナで少し余裕ができた。この活動を主導するように導かれていると直感的に非常に強く感じた」とアンドリューさんは語った。
準備として、夫妻は電磁波について勉強を始め、弁護士にも相談した。1〜2か月かけて、法律、健康上の懸念、政策について理解を深めていった。
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